離婚後の子供の名字変更を考える前に知っておくべき2つのこと

離婚後の子供の名字変更を考える前に知っておくべき2つのこと

離婚後、子供の苗字を変えない選択は、親権者としての大きな決断の一部です。できれば、母親と子供は同じ苗字を名乗りたいところでしょう。

しかし、苗字を変えることで子供に精神的負担がかかり、苦労させてしまうのではないかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、離婚後の子供の苗字変更に関する疑問にお答えし、そのメリットとデメリットを明確に解説します。

また、母親と子供が同じ苗字を持つ方法についても詳しく検討します。離婚後の子供の苗字の問題でお悩みのお母様方のご参考になれば幸いです。

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1、離婚で子供の苗字を変えない方法―「何もしない」

離婚しても子供の苗字を変えないために、母親はどうすればいいのかというと、「何もしない」ことです。

(1) 離婚後の子供の苗字は原則「そのまま」

妻は離婚によって夫の戸籍から抜け、同時に旧姓に復することになります(民法第767条1項)。婚姻時に夫の苗字に統一していた場合、何もしなければ妻は離婚によって旧姓に戻ります。

しかし、夫婦が離婚しても、それだけでは子供は夫の戸籍から抜けることはありません。妻が子供の親権者となった場合でも、子供の苗字は夫の苗字のまま変わらないのです。

そのため、子供は両親の婚姻時の姓を継続することが原則になります。

子供の苗字を変えないのなら、そのための手続きは何ら必要ありません。

一方で、子供の苗字を母親の旧姓に変えるためには、次項でご説明する手続きが必要です。

(2)離婚後に子供の苗字を母親の旧姓に変えたい場合は?

離婚後に子供の苗字を母親の旧姓に変えるためには、手続きが必要です。

第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

引用元:民法

まずは、家庭裁判所の許可を得ることが必要です。「子の氏の変更許可の申立書」を家庭裁判所へ提出しましょう。

この申立書を提出すれば、基本的に家庭裁判所の許可は得られます。

場合によっては、書面による照会や面談によって、家庭裁判所から事情を聴かれることもあります。

子の氏の変更許可の申立書は裁判所のホームページからダウンロードして使用できますので、ご参照ください。

参照:裁判所|子の氏の変更許可

家庭裁判所の許可を得た後、「戸籍法の定めるところにより届け出ること」が必要です。この届出によって、父親の戸籍から子供を抜いて、母親の戸籍に移されます。

つまり、子供の苗字を変えることと、母親の戸籍に子供を入れることはワンセットです。

2、離婚後に子供の苗字を変えないメリット

次に、離婚後に子供の苗字を変えないことによって、どのようなメリットがあるのかを確認しておきましょう。

(1)子供の精神的負担を少なくできる

子供にとって両親の婚姻時の苗字は、生まれてからずっと使用しており、最も慣れ親しんだ愛着のある苗字です。

その苗字を急に変えるとなると、子供は精神的に動揺してしまうでしょう。

また、学校の友人知人などにとっても当初は違和感があるでしょうから、周りから何かを言われたり、からかわれたりすることがあるかもしれません。場合によってはいじめに発展するおそれもあり、子供にとっては少なからず精神的な負担があるはずです。

子供の苗字を変えなければ、このような精神的負担を避けることができます。

(2)名義変更などの手続きがない

苗字を変更すると、銀行口座やクレジットカード、その他さまざまなものについて名義変更しなければなりません。幼いお子さまなら、あまり名義変更が必要なものもないかもしれませんが、中高生にもなるといくつかは名義変更が必要となるでしょう。

一方、苗字がそのままなら、名義変更の面倒はありません。

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