●どうすれば契約結婚できるのか?
ドラマに刺激された妻が「私たちも“契約結婚”にしてみない?」と夫に提案したところで、鼻で笑って取り合ってもらえないだろう。日本男性の多くが、「契約結婚などありえない」そう考えているのが現状だ。
「欧米諸国では、結婚せずに子育てするカップルが多く、結婚の他にも2人の関係を国に届けるいろいろな仕組みがあります。しかし日本では、国に届けるのは『法律婚』しかありません。近年話題となっている夫婦別姓や同性婚は、厳密な意味では『法律婚』ではなく、夫と違う名字を戸籍に記載したり、同性同士が夫婦として戸籍に登録されることはありません。法的な届け出をしてなくても、実際に夫婦として生活しているという実績があれば『事実婚』と主張することもでき、本人が希望すれば『妻(未届け)』と記載できる自治体もあります。ドラマの『契約結婚』は『事実婚』を装い、家事など生活に関する事柄を書面で取り決めているに過ぎません」(永田氏 以下同)
結婚している夫婦の契約とは、暗黙の了解である2人の約束事を書面化することを指す。箇条書きで項目を作り、2人の署名と日付を入れるが、より正式なものを作りたければ、借金の時などに使う「公正証書」という手段も。その場合は、行政書士などのプロにお願いするのが妥当だ。
どちらの形にせよ、「大切なのは内容」と永田氏は語る。家事や育児の分担はもちろんのこと、お金のことを含め、将来のことも契約に加えることが望ましいようだ。
「夫のお小遣い、保険、学資保険、積立貯金など、お金についてあらかじめ決めておくのもいいですね。また家を購入したいと思っているなら、家を買うための資金やローンのこと、将来子どもを何人欲しいか、どこに住むかなども決めておくと、後々もめずにすむでしょう」
●ママのリフレッシュタイムも契約!
お金のこと以外で、もう1つ重要なことがあるという。
「乳幼児を育てている母親は外出するのが難しく、誰とも会わないまま1日を終える“密室育児”が増えていますよね。ぜひ、ママがリフレッシュするための“1人の時間”も契約内容に入れて下さい。定期的な外出などママのフリータイムを設定しておき、何カ月かに1度、2人で契約内容を話し合ってもいいでしょう」
『逃げ恥』では、愛情で繋がっていると、お互いに甘えが生じるが、「雇用で繋がっていれば大丈夫」という新たな価値観が提示されていた。愛情で結ばれた夫婦も、2人の将来をより快適にするため、もめごとやトラブルから回避するため…これを機に、「契約」という新たな形を考えてみてはいかが。
(取材・文/谷亜ヒロコ)