●“待つ”努力をするように心がけています
――『彩育』は、高島さんの育児に対する本音がぎっしりと詰まっていて、共感する部分が沢山ありました。高島さんが、子育てにおいて一番大切にしていることはありますか?
「長女はまだ2歳ですが、娘にも夫(ゆず・北川悠仁)に対しても、“言いたいことはちゃんと伝える”ようにしていますね。言いたいことをグッと我慢して飲み込んでしまうと、ママの心の衛生上とても良くないと思うので。娘はまだ幼いですが、伝えるべきことはしっかりと伝えたいですし、もちろん叱ることもあります。注意する時ほど、声を潜めてなるべく怒鳴らずに…。ひそひそ声で『ちょっと来て~。お話があるよ~』と言うと、それだけで娘は『やばい!』と思うみたいなんです」(高島さん 以下同)
――たしかに今の高島さん、ちょっと怖かったです(笑)。これは子どもにも効き目がありそうですね。
「本当ですか?(笑) あとこれは、私の仕事においても大切なことなんですけど、子育てでも“間”を大切にするように心がけています。“間”というか“待つ時間”と言った方が正しいかな? トークでも、矢継ぎ早に質問するのではなく、間を怖がることなく待つ姿勢が、ゲストのコメントを引き出すことにつながります。子育てもこれと同じで、娘がやろうとしていることは、どんなに時間がかかってもなるべく手助けせずに、グッと我慢して待つ努力が必要なのかなと。娘がせっかく話そうとしていることをいち早く汲み取らず、娘からポロリポロリと出て来る言葉やアクションを待つようにしています」
●親が思うようにはいかない…それが子育て
――書籍のなかでも語られていますが、子育てを通して、ご自身のなかで何か変化はありましたか?
「わりと生真面目な性格なので、仕事でも家事でも、何でも完璧にやろうとしてしまうところがあったんですけど、次女を産んでからというもの、性格が180度変わってしまいました。まぁいい加減になったこと(笑)。子育てって、絶対に親が思うようにうまくはいかないですよね。長女を産んだ時、授乳も離乳食も何でも完璧にこなしたいという自分がいましたが、それができないという現実に何度もぶち当たって、次第に“なるようになるか…まぁいいや”と思えるようになりました」
――そう気づかされた、具体的なエピソードはありますか?
「長女を出産した頃、おっぱいさえも自分が思うように出ない…そんな現実に打ちのめされたんです。仕事も家事も、いかに要領よく完璧に手際よくやりこなすことができるか…出産前はそこに美徳を感じていたんですけど、子どもたちは平気でそこからはみ出していく。おもちゃを片づけたそばから散らかし、拭いたばかりの床に牛乳がこぼれ、なぜか、履かせたはずのパンツが宙を舞う。敗北感この上ないです(笑)。洗濯物も食器も、気づけば山のようにたまっているし、次女が泣けば長女も泣き出して、自分も泣きたくなるカオス状態(笑)。でも“子育てなんて、そもそも親が思うようにうまくはいかないもの”そう考えるようになってからは、気持ちが一気にラクになりました」
――『彩育』には、その境地に達するまでの高島さんの心の葛藤がリアルに書かれていますよね。なかなか思い通りにならない”断乳”については、特に赤裸々に書かれていたので、参考になるママは多いと思います。
「そう言って頂けると嬉しいですね。私、母乳が出づらかったこともあって、“おっぱい(母乳)”への執着がすごいので(笑)、少しでも悩んでいるママたちの参考になればいいなと思います」
数多くのアナウンサーのなかでも、巧みな仕切りと話術が評判の高島さん。インタビュー中も、ふんだんに笑いを散りばめながら、同じママ同士、本音で語ってくれたのが印象的でした。完璧に見える高島さんでも、働くママとしての悩みや不安は同じ。エッセイを読めば、きっと彼女のリアルな本音から勇気をもらえるのではないでしょうか。
(取材・文/蓮池由美子)