はじめまして。吉井奈々と申します。私は、男に生まれて、性転換手術を受け、戸籍を“女性”に変えてから、普通の男性と結婚した“ニューハーフ”です。そんな半生から学んだ貴重な実体験を元に、日々「人と人とのコミュニケーション」について研究をしています。
さて。さっそく今回のテーマである「お盆」についてお話ししましょう。皆さん、すでにお盆へ向けて本格的なプランが出来上がったころ……ですよね? ただ、この“お盆休み”を、単なる“大型連休”としてしかお考えになっていないママさんも最近は案外多い気がします。せっかくだから、お盆についてちょっとだけの豆知識を仕入れてみるのもいいんじゃないかな?
「お盆」の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。インド・サンスクリット語の「ウラバンナ(=逆さ吊り)」を漢字で音写したもので、もともとは逆さ吊りされているような苦しい目に合っている人を救う仏教行事だったの。それが日本に渡ってきて、日本特有の「自然や動物、物などの魂と同様に、ご先祖様も大切にする」古来の神道的な考えとミックスされながら、時を経て“ご先祖様が帰ってくる日”となったお盆の期間中は、「親族・縁者が集まり、祖先の霊と一緒に過ごす」のが一般的な“ならわし”となったみたい。
とは言え、お盆の様式や時期は地方さまざまで、極端な話、47都道府県の数以上に違った風習がある、と言っていいくらい。たとえば、私の主人の実家は、あえて(お盆中に)お墓参りをしないの。だって、お墓はご先祖様が眠っている所で、お盆は家に帰ってきてくれるわけだから、入れ違いになっちゃうじゃない? だから、お盆前の11日や12日くらいにお墓をきちんと洗いに行って、「お家で待ってるからね」と確認し、お盆は家でご先祖様をお迎えするんです。あと、長崎県だと、さだまさしさんの歌でお馴染みの“精霊流し”が有名だし、沖縄では「ウチカビ」と呼ばれる“あの世のお金”を「お先祖様がお金に困らないように」と燃やして渡すのだそう。
……と、すべてを話そうとしたら、それこそ文字数がいくつあっても足りません(笑)。私はシンプルに、お盆は「ご先祖様、お亡くなりになったおじいちゃんやおばあちゃんに、“いつも見守ってくれてありがとう”と感謝しながら、その想い出をみんなで語らう」ための良いきっかけだと、心の片すみにとどめておくだけで充分だと思っています。わざわざ帰ってきてくれるんだから、コッチもにぎやかに、ワイワイ騒いであげればいいんです。
ちなみに私の実家では、リビングに両家の祖父祖母の写真が飾られているので「お盆とか特別なときでなくとも、おじいちゃんやおばあちゃんは常に一緒に居てくれている」としていて、毎朝「おはよう」とか声をかけていましたよ。