雷日数が増えている?その原因と注意すべきポイントを紹介

 


写真:PIXTA

近年、雷日数が増えていることをご存知でしょうか。雷日数には地域差があり、特に日本海側においては年間の雷日数が増加傾向にあります。雷は停電の原因になったりするほか、人命にも影響を及ぼす恐ろしい現象です。

この記事では、雷日数が増えている理由や屋内・屋外での注意点、対策などを紹介します。

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雷とは発達した積乱雲による放電現象

雷は発達した積乱雲によってもたらされる放電現象の一つです。積乱雲の雲の高さは4km~10kmにもおよびます。高度が高くなるほど気温が下がることから、雲の上部にはあられや氷晶(小さい氷のつぶ)が多く発生します。

さらに雲の中では空気が激しく動いており、あられや氷晶が激しくぶつかることによって静電気がたまっていきます。

やがて軽い氷晶は雲の上部、重たいあられは雲の下部にわかれるようになり、雲の上にはプラスの静電気、雲の下にはマイナスの静電気がわかれてたまるようになります。

また、地表付近は雲の下のマイナスの静電気に引き寄せられてプラスの静電気が集まります。

このように静電気が大量にたまってくると、空気中に蓄えることができなくなり、プラスとマイナスの間に電気の通り道ができて雷が起こるというわけです。


引用:https://www.jma-net.go.jp/sendai/knowledge/kyouiku/yoho/ts.pdf

雷日数の変化

太平洋側よりの内陸に位置する宇都宮と、日本海側に位置する金沢の雷日数を月別で見てみましょう。


引用:気象庁「月別の雷日数」

宇都宮では夏に雷が集中し冬に雷がほとんど発生していませんが、日本海側に位置する金沢では冬に雷が多く発生しています。

冬の雷をもたらす雪雲は日本海で発生し、冷たい北風~西風で日本海側に運ばれます。しかし、雪雲の背が低いことから山地を超えることができず、太平洋側には雲が届かないため、冬の太平洋側ではほとんど雷が発生しません。

上記を踏まえて、1970年から2023年までの雷日数の変化を紹介します。

日本海側(金沢)では1月、8月とも雷日数が増加

まずは日本海側に位置する金沢における1月の雷日数の変化です。(以下、気象庁「過去の気象データ」を参考にグラフ作成)


1月は2000年を超えたあたりから雷日数が増えていることがわかります。


8月は2003年を超えたあたりから雷日数が増えており、2020年以降は急上昇しています。

日本海側(秋田)の8月の雷日数は2020年以降急上昇

次に日本海側に位置する秋田における1月の雷日数の変化です。


1月は2000年を超えたあたりから雷日数が増えています。


8月は大きな変化はありませんが、2020年以降は急上昇しています。

太平洋側(東京)でも8月の日数は増加

太平洋側に位置する東京における1月の雷日数の変化です。


1月はほとんど雷が発生していません。


8月は全体を通してゆるやかに雷日数が増えています。

このように夏は日本海側・太平洋側とも、冬は日本海側を中心に雷日数が増えています。日本海側で夏の雷と冬の雷がそれぞれ増えているため、年間で見ると太平洋側よりも日本海側の方が雷日数の増加率が大きくなります。

また、太平洋側も夏の雷日数が増加傾向にあるため注意が必要です。

雷の増加の背景には気温上昇が

雷の増加には、日本の平均気温の上昇が大きく影響しています。気温が上昇すると発達した積乱雲が生じやすくなるため、雷日数が増えます。以下の画像は日本の年平均気温偏差です。

引用:気象庁「日本の年平均気温偏差」

夏に雷をもたらす積乱雲は太陽で地表が熱されて上昇気流が発生することで生じ、冬に雷をもたらす積乱雲は日本海の海水温度と季節風との温度差から生じる上昇流によって作られます。

また、夏の気温が高いことで冬になっても日本海の水温が十分に下がりきらず、その上に冷たい季節風が吹き、大気の状態が不安定になって冬の積乱雲の発達につながります。

今後も気温の上昇が続けば、雷のリスクは高くなるといえるでしょう。

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