過去には爆弾低気圧で浸水が発生
高潮といえば、「夏から秋にかけて台風によって引き起こされる現象」とイメージする方も多いのではないでしょうか。
しかし、過去には爆弾低気圧が原因で冬にも大規模な高潮が発生しており、台風シーズンや暖かい季節にだけ起こるとは限りません。
今後は気候変動によって潮位そのものが上昇したり爆弾低気圧が増加したりすることで、冬の高潮被害が増える可能性があります。
この記事では、冬に高潮が起こるメカニズムや災害をもたらす爆弾低気圧について解説します。
こちらの記事もおすすめ!→確認!そばに海がある人向け 津波・高潮・高波対策
高潮は、海岸付近の海面が異常に高くなる現象
高潮は海岸付近で潮位(海面)が異常に高くなる現象で、海水が堤防を越えたり陸地に達したりすることで浸水被害をもたらします。
「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」
主に台風や爆弾低気圧による「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」で潮位が高くなります。
気圧が下がることによって海面にかかる空気の圧力が低下し、海面が盛り上がることを吸い上げ効果といい、気圧が1hPa下がると海面は約1cm上昇します。
一方で、強風や暴風が海岸に吹きつけることで海面が上昇することを、吹き寄せ効果といいます。
引用:気象庁「高潮」
夏から秋にかけて高潮災害が起こりやすい理由は、台風が多いことに加えて、もともとの潮位が高い時期にあたるためです。
以下のグラフをご覧ください。
気象庁「5年平均潮位」をもとに作成
参考:東京(5年平均潮位)|稚内(5年平均潮位)|鹿児島(5年平均潮位)
東京、稚内、鹿児島の月別の平均潮位です。潮位は8月~9月にもっとも高くなり、冬にかけて下がっているのが分かります。
夏から秋にかけて潮位が高くなるのは、ほかの季節に比べて気圧が低いことや、海水温が高く海水が膨張するためです。
本来冬は、潮位が低いため高潮が起こりにくい季節ですが、爆弾低気圧の接近や通過によって潮位が異常に上昇し、高潮被害が発生するケースがあります。
配信: 防災ニッポン