センター試験廃止で問われる「賢い子ども」の特徴とは?

第1回 賢い子はこうして育つ!
2020年、いよいよ大学入試センター試験が廃止となり、新たなテストが導入される。それまでは、ただがむしゃらに知識のみを詰め込み、点数で機械的に人を識別するセンター試験が大学受験の常だったが、’20年以降は記述式を多く取り入れた大学入学希望者全員が受けなくてはならない新テストへと移行。「これからは、日本がグローバル化に対応していくため、より“主体性・協働性・多様性”が問われるようになります。そうなると、賢い子ども像が大きく変わるというわけです」と語るのは、『将来賢くなる子は「遊び方」が違う』(KKベストセラーズ)を出版した「V-net」(教育相談事務所)主宰の松永暢史氏だ。そこでここでは、将来幸せをつかむことができる“賢い子”の定義を紹介。松永氏にナビゲートしてもらった。

●知識や技能しかない人は将来お払い箱に!

「知識や技能しか必要としない仕事は、今後ドンドンコンピューターにとって代わられていきます。これからの大学生に求められるのは、主体性、コミュニケーション能力、実行力、チームワーク、協調性、問題解決能力、創造力。知識や技能しかない人は、今後お払い箱となってしまう可能性が高いと言えるでしょう」(松永氏 以下同)

AI(人口知能)にも負けず、将来生き残って幸せな人生を歩むためにはどうしたら良いのか? そこには、これまで以上に家庭環境が関わってくると松永氏は熱く語る。

「これからは、ただ一生懸命勉強して、知識を詰め込んでもムダ。子どもたちがわからないことに遭遇した時“なぜだろう”“不思議だな”と考え、それを自ら調べる癖をつけることが大切です。知識を暗記する力よりも“思いつく力=想起力”が必要となる。その力をつけるためには、お母さんが先回りして何でも決めてしまうのは絶対にNG。“今週末はどこにいく?”“今日のご飯は何を食べたい?”などの問いかけを積極的に行い、子どもが思いついたことを口にする習慣をつけるようにしましょう。例えば“キャンプに行きたい!”と子どもが答えたなら、“キャンプ場では何をしたい?”と問いかけ、さらに子どもの想起力を広げていく。日々の親の工夫が必要となるわけです」

大学 新テスト

●お手伝いは丸ごと任せる

将来賢くなる子どもには、この想起力があり、何か1つのことに夢中になったら、ドンドン展開させていく力があるという。

「そのためには、お手伝いを丸ごと任せて知恵や工夫を考えさせたり、2歳くらいから着る服は自分で選ばせたり…と、身の回りのことを少しずつ自分でやらせるように心がけましょう。小学校高学年になったら、スケジュール帳を持たせて、“何時にピアノだから、この日は何時に家を出る…”など、自分の行動を管理させてもいいかもしれません。親が手を貸しすぎず、子ども自身に考えさせることで、子どもの想起力はドンドン育つのです」

特に泊まり行事の時などは、ついなんでもかんでも揃えてしまい、気が付いたら、服を1日分ずつにコーディネートし、キレイにジップロックしてしまう…というママも多いのではないだろうか。子どもが困らないために…と思って親がサポートすることが、ひいては子の賢さや成長を奪うことにもなりかねない。ママはしっかりと、頭のなかにその概念をインプットしておく必要がありそうだ。

(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

松永暢史
松永暢史
「V-net教育相談事務所」主宰
'57年、東京都生まれ。都立西高を経て、慶応大学文学部哲学科卒。受験プロ、教育環境設定コンサルタント、能力開発インストラクターとして子どもや親たちを指導している。主著に「男の子を伸ばす母親は、ここが違う!」「結婚できない男は、12歳までにつくられる」(ワニプラス新書)、「こんな働く母親が、子供を伸ばす!」(扶桑社)がある。
'57年、東京都生まれ。都立西高を経て、慶応大学文学部哲学科卒。受験プロ、教育環境設定コンサルタント、能力開発インストラクターとして子どもや親たちを指導している。主著に「男の子を伸ばす母親は、ここが違う!」「結婚できない男は、12歳までにつくられる」(ワニプラス新書)、「こんな働く母親が、子供を伸ばす!」(扶桑社)がある。