わかっていても止められない! 「強迫性障害」とは?

第3回 子どもに異変! これは病気なの?
わが子が異常なほど手を洗ったり、鍵をかけたか何度も確認したり、忘れ物チェックが激しかったり生活に支障が出ている…といったことに悩まされている親御さん…。もしかしたら、それは“強迫性障害”かもしれません。

●洗っても洗っても、汚れているような気がして手洗いを止められない!

「強迫性障害は2つが揃っているものを指します。本人の意思と無関係に頭に浮かぶ不快感や不安感を生じさせる“強迫観念”と、それを打ち消したり振り払うために繰り返す“強迫行為”を行う心の病です。発達障害の子が併発しやすい病でもあります」

そう話すのは、『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者・立石美津子さん。強迫性障害には、さまざまなものがあり、代表的なのは“不潔恐怖”だという。

「洗っても洗っても、まだ汚れているような気がして手洗いを止められません。手洗いを終えても、蛇口を触ることでまた汚れたと思い、永遠に手洗いが続きます。石鹸1個がなくなるまで手洗いをし、手がボロボロになり外出もできなくなります。また、蛇口を触ることでまた汚れるのを恐れて風呂に入らなくなり、かえって不潔になってしまうというおかしな結果になるケースもあるのです」(立石さん 以下同)

強迫性障害とは?

●お子さんが確認などの繰り返し行動に苦しんでいたら、親 子でなんとかしようとせず、専門家に相談しよう!

他にも、以下のような種類があるという。

《確認恐怖》
「ガスの元栓や鍵のしめ忘れが不安になり、何度も戻って確認してしまいます」

《数症恐怖》
「13や4など特定の数字を見聞きすることを異様に恐れ、外出がままならなくなります」

《加害恐怖》
「運転中に、人をひいてしまったのではないかと、何度も車の下を確認してしまいます」

《疾病恐怖》
「健康なのに、癌の不安から逃れられず受診を繰り返します」

《不完全恐怖》
「あるべきところに物を置かないと不安になります」

《醜貌恐怖》
「自分の容姿が人に不快な思いをさせていると思い込みます」

「以上のような、不安を振り払うための強迫行為は不合理なものですが、それをやめるとまた不安や不快感が起こるため、自分でもおかしな行為である自覚はあるものの、なかなか止めることができないのです」

これらの症状は、“自閉症スペクトラム”の行動特性と似ているそうだが、行為に至る理由が違うため、異なる対処法が必要だそう。

「自閉症スペクトラムも、同じような儀式的行為を繰り返す行動特性があり、こだわりも強く同じパターンを繰り返したりします。しかし、それは本人にとって居心地がいいからであり、病気ではないので、繰り返す行為を無理にやめさせる必要はありません」

では、わが子に“強迫性障害”の症状が表れた場合、どのように対処したらいいのだろうか?

「本人と約束しながら、少しずつ我慢して確認回数を減らし、自信をつけさせていきます。これは、“認知行動療法”という治療法の一種で、“あれ、僕は確認しないで済んだ”という経験を積み重ねていくことで、自信をつけさせていくのです。精神や心の病は、薬も併用しますが、医師とのカウンセリングにより行動を変えていく治療もしていきます」

この病は、生活に支障が出るほど悪化するケースもあるそう。お子さんの几帳面な性格ということでなく、確認などの繰り返し行動が止められず本人が苦しんでいるようでしたら、親子でなんとか解決しようせず、早めに病院を受診しましょう。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。