心が軽くなる「結婚式マナー」の考え方
新郎と新婦の人生の門出である結婚式。招待状が届くと自分のことのようにうれしくなります。ただその一方、「何を着ていこうか?」と悩むことも多いのではないでしょうか。この悩みも、それだけあなたが真剣に考えているからでしょう。
前項までに、気をつけた方が良い点として6点挙げました。他にも挙げることは可能ですが、あれもダメ、これもダメ、と、あまりの「ガチガチマナー」に縛られることは、かえって委縮してしまいます。最近は「黒のウエディングドレス」を選択する花嫁さんも増えてきているようで、これまでの古いマナーはだんだんと変化していくものかもしれません。
心理カウンセラーの立場から結婚式のマナーについて、アドバイスするとしたら、ぜひ、次の2点から考えていただきたいと思います。
ひとつめは、「主役は新郎と新婦であること」です。この2人よりも目立つ服装は考えものです。
ふたつめは、「新郎新婦の家族(特にご両親)から見てOKのものであること」です。結婚式は両家のお祝い事でもあります。ご家族が眉をひそめるようなものは控えてください。「××はダメ」「××をしてはいけない」となるとルールのようになってしまいます。結婚式の服装は、あくまでもマナーです。ルールとして明確に規定されているわけではありません。確認できるのであれば、「ドレスコードはありますか?」と事前に聞いてみるのも安心できますよね。
マナーとルール、モラルの違い
ここで改めて、マナーとルール、モラルの違いについて違いを説明しましょう。
「マナー」とは、礼儀作法、行動の作法など、特定の場面や状況での適切な振る舞いや態度を示すもので、エチケットともいえます。冠婚葬祭やテーブルマナーなどが当てはまります。マナーの場合、それに違反をしたとしても罰せられることはありません。
「ルール」とは、法律、規則、規定、決まりごとなど、社会生活を営む上で守らないといけないものです。交通ルールなどが当てはまります。特定の集団の秩序を保つことが目的で、違反した場合、罰せられます。
「モラル」とは、道徳、倫理、良心など、個人や集団が持つ道徳的な価値観、倫理観に基づくもので、善悪や正義の判断を伴います。迷惑を掛けないことなどが当てはまります。違反したとしても罰せられることはありませんが、良心の呵責などのように、自分で自分のしたことを責めるようになります。
あなたが悩む本当の理由は?
服装に悩んでいる3人がいます。それぞれ次のように悩んでいます。
Aさん:周囲に迷惑をかけたくないから
Bさん:自分だけみんなと違っていたら、恥ずかしい
Cさん:新郎新婦の幸せを願うから
「周囲の迷惑になるのでは?」と悩むAさん。迷惑とは、本来はモラルの問題です。Bさんの場合、「マナーを守らない変な人と思われたくないから」という思いが強いのかもしれません。どちらも、根本的な要因は「周囲の視線が過度に気になる」ではないでしょうか。この場合、ストレスを抱えやすいタイプであり、メンタルの改善という別の問題となります。あなたの悩みは誰のタイプに当てはまりますか?
おわりに
結婚式に参列する目的はなんでしょう?2人の門出を祝うことですよね。服装はあくまでも、そのための手段に過ぎません。「どうしよう」と不安な面持ちでは、せっかくのお祝いの席もマイナスになってしまいそうです。あなたが悩むのは、幸せを願うからこそ、ではないでしょうか。
「おめでとう」と、心からの笑顔でお伝えできたら最高に素敵です。あなたの笑顔こそ、最高のお祝いなのですから。
(佐藤城人(さとう・しろと))
配信: LASISA
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