花粉症がない地域があるなんて……|海外逃亡も視野に!海外も含めた花粉症事情を紹介


日本気象協会の発表によると、2月中旬までに九州から関東・東北の一部においてスギ花粉の飛散が始まっています。

スギは3月上旬~中旬、ヒノキは3月下旬にピークを迎えると予測されており、花粉症の方はしっかりと対策を取る必要があります。

この記事では、日本人と花粉症の関係や花粉症のメカニズム・子どもの花粉症についてまとめました。

花粉症対策もご紹介しているので、花粉症の方もそうでない方もぜひチェックしてみてくださいね。

参考:日本気象協会 2024年 春の花粉飛散予測(第4報)~スギ花粉は九州から東北まで飛散中 ピークは多くの所で3月上旬から中旬~ | JWAニュース | 日本気象協会

花粉症は日本人の「国民病」!

環境省が発表した「花粉症環境保健マニュアル2022」によると、日本人の花粉症の有病率は42.5%。

国民の2~3人に1人が花粉症だと考えると、「国民病」といわれるのも納得できますね。

しかしなぜ、日本では花粉症が増えてしまったのでしょうか?

花粉症の概要や原因・日本で花粉症が増えた理由をご紹介します。

参考:花粉症環境保健マニュアル2022|環境省

花粉症とは「花粉に対するアレルギー反応」のこと

花粉症は、人間の体内に花粉が入ったことにより発症するアレルギー反応です。

人間の体は侵入してきた物質を「異物」と判断すると、その異物を排除しようとする機能が働きます。

2~3月ごろに以下のような症状が出る方は、花粉症の可能性大です。

くしゃみ:連続して何度も出る
鼻水:サラサラした鼻水が絶えず出る
鼻づまり:口呼吸になるほど鼻がつまる
目のかゆみ・充血など

花粉症の重症度分類では、くしゃみ・鼻水ともに5~1回を「軽症」、6~10回を「中症」、11~20回を「重症」、21回以上を「最重症」としています。

重症になると日常生活にも大きな支障が出るため、通院が必須です。

花粉症の原因

花粉症の原因となる植物は、約50種類あるといわれています。

主な植物と開花時期は以下のとおりです。

ハンノキ:1~6月
スギ:1~5月
ヒノキ:1~6月
イネ:ほぼ1年中
ブタクサ:7~12月
ヨモギ:7~11月
カナムグラ(クワ):8~11月

※地域によって開花時期は異なります。

日本では、花粉症の原因となる花粉が1年中飛散していることが分かりますね。

参考:コメディカルが知っておきたい花粉症の正しい知識と治療・セルフケア|厚生労働省

スギ花粉による花粉症が多い理由

実際のところ、花粉症を発症している人の約7割は、スギ花粉が原因です。

スギは、北海道の南部から九州にかけて人工的に植林されました。

スギ人工林の面積は広く、441万haにもおよびます。

日本の森林面積が2,502万haですから、スギ林だけで約18%(国土の12%)を占める計算です。

そもそもスギの母数が多いため、花粉の量もひときわ多いというわけですね。

日本にスギが多いのは、戦後にスギの植林が積極的に行われたためです。

日本では戦中・戦後にたくさんの木が伐採され、はげ山ばかりとなりました。

これにより全国で大水害や山地崩壊が発生し、森林の回復が急務となったといわれます。

その結果、荒廃した林地にはたくさんのスギが植えられため、スギの人工林が全国的に増加しました。

参考:森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A:林野庁

▼スギが好まれた理由

多くの森林所有者がスギを植えたのは、スギが日本の固有種で古くからなじみがあったことと関係があります。

スギの木は軽くて柔らかい上、くねくね曲がったりしません。

加工しやすく木材としての用途が多かったことから、森林所有者に好まれたのだそうですよ。

日本政府の花粉対策

花粉症が蔓延すると、医療費の増加や労働効率の低下が起こります。

花粉症を発症した人は外出を控えようとすることから、個人消費の減少は避けられません。

花粉症によって、日本経済は大きなダメージを受けているのが現状です。

例えば2023年1~3月について、株式会社第一生命経済研究所は「花粉の影響により実質家計消費が3,831億円押し下げられた可能性がある」と発表しました。

花粉が与える社会的・経済的な損失は大きく、現在では文部科学省、厚生労働省、農林水産省、気象庁、環境省の関係省庁が連携を取って花粉症および花粉発生源対策を行っています。

花粉の飛散に関わる発生源対策では、林野庁が「スギ人工林の伐採・利用と植替えの促進」「花粉の少ない苗木の供給拡大」「花粉飛散抑制技術の開発」を実施している最中です。

花粉を減らす取り組みは着実に実行されているといえますが、森林の植替えは容易なことではありません。

花粉の少ない森林が造成されるまでには、長い時間がかかりそうです。

参考:花粉の大量飛散が日本経済に及ぼす影響 ~1-3月の個人消費を▲0.7%(▲3,831億円)程度押し下げる可能性~ | 永濱 利廣 | 第一生命経済研究所

参考:森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A:林野庁

子どもの花粉症の現状

花粉症は全年齢に見られますが、若い世代での発症率が高まっているといわれています。

子どもの花粉症の現状について見ていきましょう。

花粉症は低年齢化

ロート製薬株式会社が0~16歳の子どもを持つ保護者にアンケートを行った結果、42.6%の保護者が、子どもについて「花粉症と診断された」または「花粉症だと思う」と答えました。

10年前の調査結果と比較すると、10%も増加しています。

また小学生のみを見ると、47.4%の保護者が子どもの花粉症を実感しているという結果が出ました。

すなわち小学生の約半数が、花粉症の疑いがあるということです。

同調査によると、子どもの花粉症発症年齢は、平均で5.8歳とのこと。

花粉症の低年齢化が進んでいるのが現状です。

参考:子どもの花粉症実感、10年前32.7%→現在42.6%に増加。小学生では約半数が花粉症実感、うち32.1%「とても辛い」 | ニュース | ロート製薬株式会社

子どもの花粉症の原因

子どもの花粉症の原因は、明確には分かりません。

ただし「遺伝」「その他のアレルギー反応による連鎖」「環境」などが複合的に混じり合って発症することがあるようです。

例えば祖父母・親が花粉症を発症している場合、遺伝子が子どもにも引き継がれる可能性があります。

また幼児期に乳児湿疹・アトピー性皮膚炎を発症すると、「アレルギーマーチ」が起こるケースが少なくありません。

アレルギーマーチとは、アレルギーの素因をもった子どもが食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などを次々と発症していくことです。

アレルギーマーチを起こした子どもは、花粉症も発症しやすいとされます。

アレルギーマーチは乳児湿疹・アトピー性皮膚炎が発端となるケースが多いことから、花粉症を防ぐ上で乳幼児期のスキンケアは非常に重要です。

このほか大気中に有害な化学物質が増えたことも、花粉症の発症率を上げる原因の1つと見られています。

参考:スギ花粉症の低年齢化 – 吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町

参考:花粉症(2)「なぜこんなに増えているのか?」|ふしぎを追って|国立環境研究所

子どもと大人の花粉症の違い

小さな子どもは、花粉症からくる不快な症状をうまく伝えることができません。

子どもの様子をよく観察し、違和感があればすぐに専門医に相談することが大切です。

子どもの花粉症には、以下の特徴があります。

鼻づまりが多くくしゃみが少ない
粘り気のある鼻水が出る
目にも症状が出やすい

「やたらと鼻を触る」「頻繁に口や鼻をモゾモゾさせる」などがあれば、「花粉症かも?」と疑ってみてください。

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