宿題をさぼり、「やった」とウソをつく息子。つまずいているのはどこ?

宿題をさぼり、「やった」とウソをつく息子。つまずいているのはどこ?

習い事や学校の宿題をサボり「終わった」というウソや、カンニングもしているようです。どこでつまずいているのでしょうか
 

小学2年生の息子です。段々と習い事の宿題や学校の宿題をサボるようになりました。サボるだけならまだ百歩譲ってよいのですが、「やった」「おわった」とウソをつき、宿題提出日まで隠したりごまかしたりするようになりました。怒っても逆効果かな?と思いなるべく努めて怒らないように「一緒にやろう、手伝うよ」と声をかけるようにしているのですが。「やってあるから黙ってて!」と言い張ったり、答えをこっそりカンニングして、やったフリをするので、悲しくなります。段々と腹も立ちます。宿題が多く、疲れているのでしょうか?それともただのサボり?親としてはどう対応すべきなのでしょうか? 教えていただけましたら幸いです。(ケロケロママ)
「自分でやり切りたい気持ち」と「自分では出来ない」との間で揺れ動いているのです!
 

子どもというものは、基本的に「なんでも自分でやってみたい!」という気持ちを持っているものです。その気持ちが強すぎるタイプの子どものような気がします。子どもは、小さい時は「自分は何でもできる」という万能感を持っています。また、それが子どもの能動性を創り出しているとも言えるのです。ダメ出しをしょっちゅうしていると、子どもの万能感が薄れると同時に、能動性が失われてしまいます。
だからといって、「宿題をやっていないのにやった」などということを見過ごすことはできませんよね。たぶん、相談者のお子さんは、夢中になってしまうとやるべきことを忘れてしまうのかもしれません。あるいは、やることの優先順位がつけられないのかもしれません。もしかすると、勉強が分からないのかもしれません。本当に勉強が分からない子どもというのは、「どこが分からないのか?」「どこから分からないのか?」なども説明できないのです。
最近分かった研究例を紹介します。「0~2歳ぐらいの子どもたちが一番最初に認識する形は、○・△・□のどれだと思いますか」と、保育士の方に聞くと、ほとんどの方が「○」と答えます。「では、どうしてだと思いますか?」と聞くと、その理由が分からない保育士が多いのです。不思議ですが、子どもというのは、○の次は□、最後に△の順番で認識しているようなのです。それは乳房が丸いですから、生存本能のようなものなのかもしれません。しかしながら、もっと複雑な図形になると教えなければ身に付かない力なのです。そして、私の研究結果から、図形認知の力が低い子どもは、ひらがなの習得などに困難さを伴うことも分かってきたのです。
このお子さんも、本当は自分の力でやりたいのです。ただ、勉強以前の図形認知や言葉の概念認知でつまずいている可能性もあるのです。まず、わが子が教科書をスラスラ読めるかを調べてみてください。ポツポツとして拾い読みだったり、つっかえ読みだったとするなら、言葉の概念が備わっていない可能性があります。

どのような方法をとればいいでしょうか?
そうした読みをしているとするなら、まずは教科書を1行ずつ一緒に読んであげてください。そして、声に出している時には、目は先を見ているように教えてあげてください。実際の練習方法について、紹介したいと思います。それは、「連れ読み」という方法です。
有名な「ごんぎつね」を例にして説明してみたいと思います。物語では、「これは、わたしが小さいときに、村の茂兵(もへい)というおじいさんからきいたお話です。」という文章から始まります。その時に、お母さんが「これは」と読み、子どもがあとをつぐように「これは」と読みます。箇条書き的に書くと次のような方法です。
母「これは」
子「これは」
母「わたしが」
子「わたしが」
母「これは、わたしが」
子「これは、わたしが」
このように、短く・短く・長くというようにしていきながら、スラスラ読みに移行していく方法です。この「母」を「教師」にすれば、教育現場でも使えます。よく「音読を家で3回やってくる」という宿題が出ます。正直言って、こうした宿題の方法では子どもはスラスラ読みになっていきません。「音読をたくさんすれば、うまく読めるようになる」といった考えが背景に存在しているからです。音読練習をさせて上手になるのは、ある程度スラスラ読める子どもだけです。残念ながら、拾い読みの子どもには、効果がほとんどないのです。

また、言葉の概念を知らないこともあるので、分からない言葉が出てきたら、一緒に考えてください。教え込むのではなく、一緒に学ぶ姿勢で接することがポイントです。
また、もしかするとですが、怒るときに「宿題をやらなかったら、先生に怒られるでしょ!」とか「やることをやらなかったら、みっともないでしょ!」などと怒っていませんか?
そういう時には、I(愛)メッセージを伝えるようにすべきです。「私は、宿題をやらなかったら、お母さんは悲しいし、先生も悲しいな。それに、宿題をやらないと勉強がどんどん分からなくなってしまって、あなたがやる気をなくしたり、勉強が分からなくてイライラするあなたの姿を見るのがイヤだなと思うんだ」という具合に、自分の気持ちを伝えていくことを優先させることが必要なのです。
じっくりと息子さんと付き合ってみてください。

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

 
【近著】
「子どものココロが見えるユーモア詩の世界 -親・保育者・教師のための子ども理解ガイド-」(ぎょうせい、1980円)発売中。

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