資金洗浄されて「お金は返ってこない」 有名人かたる投資広告で「数千万円」の詐欺被害…詐欺グループの手口とは?

資金洗浄されて「お金は返ってこない」 有名人かたる投資広告で「数千万円」の詐欺被害…詐欺グループの手口とは?

実業家の堀江貴文さんや経済アナリストの森永卓郎さんなど、有名人が投資を推奨しているように見せかけた「ニセの投資広告」がSNS上で広がっている。実際に、高齢男性が数千万円をだまし取られる詐欺被害にあったという事件も報じられている。

投資ブームの加熱に伴って、SNSの投資詐欺も活況を見せているといいかもしれない。元検事で、投資詐欺やそれに伴う口座凍結にくわしい西山晴基弁護士によると、だまし取られた金は”資金洗浄”されるため、ほとんど返ってこないという。西山弁護士に資金洗浄の手口の一端を解説してもらった。

●詐欺グループは自分たちの預貯金口座を使わない

ニセの投資広告などを使って誘い込んだ被害者にお金を振り込ませる際、詐欺グループは、自分たちの預貯金口座を使うことはまずありません。自分たちの口座に振り込ませれば、すぐに足がついてしまうからです。

そのため、詐欺グループは「口座売買屋」から入手した他人の口座に振り込ませたうえで、そのお金を「闇バイト」で募った多くの人たちを利用して、最終的に自分たちのもとに運ばせてくるわけです。

ただ、だまし取ったお金を自分たちのもとに持ってくる手段はこれだけではありません。詐欺グループは、だまして振り込ませたお金を、さらに別の名目でだました人を利用して、複数の口座に転々流通させたうえで、最終的に自分のもとに持ってきます。

お金には色がないため、さまざまなところに流れて混ざりこむと、何のお金だったか判別しにくくなります。詐欺グループは、だまし取ったお金を捜査機関からはく奪されないように、お金をどんどん流していき、何のお金かわかりにくくしています。

このように犯罪で得たお金をキレイなお金に見せかける行為が、マネーロンダリング(資金洗浄)と呼ばれています。

●「お金配り」はほとんどウソと言ってよい

預貯金口座にお金を流しまくるためには、たくさんの預貯金口座が必要です。そのため、詐欺グループは、キレイなお金の名目を装って、多くの人たちをだまして、送金に利用しています。

典型例は「お金配り」です。SNSで「お金あげます」という投稿を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどがウソと言ってよいでしょう。

お金配りには、「お金を振り込むからキャッシュカードを送って」というパターンだけではなく、「指定の口座にお金を振り込んであげるから」と言ったうえで「その一部を別の口座に振り込んで」とか「指定の場所まで持っていて」などというパターンもあります。

今年に入ってからも、「お金配り」の逮捕事例もいくつか報道されています。

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