写真:PIXTA
地球温暖化と間違われやすい現象に「ヒートアイランド」があります。どちらも人間活動が原因で気温が上昇するという点では同じであるものの、仕組みや規模が違います。
ヒートアイランドでは都市部を中心とした気温上昇や乾燥化が問題になっています。
この記事では、地球温暖化とヒートアイランドの違い、乾燥化がもたらす影響について紹介します。
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都市部の暑さと乾燥をもたらす「ヒートアイランド」とは
「ヒートアイランド」とは、都市の気温が周辺に比べて高くなる現象のことです。
例えば、「夏の時期に都市部では耐えられない暑さだったのに、郊外に出ると涼しさを感じた」という経験を持つ方も多いでしょう。
気温の分布図において、以下の図のように、都市を中心に高温域が広がり島のような形に見えることから、ヒートアイランドと呼ばれるようになりました。
引用:気象庁「ヒートアイランド現象」
引用:気象庁「夏と冬のヒートアイランド現象の比較 関東地方」
ヒートアイランドは以下のような原因で起こります。
・空気を冷やす効果がある緑地の減少
・マンションや住宅の高密度化による風通しの悪化
・建物や工場、自動車による人工排熱の増加
引用:気象庁「人工排熱(人間活動で生じる熱)の影響」
なお、「地球温暖化」は大気中の二酸化炭素などの温室効果が増えることが原因で気温が上昇する現象であるのに対し、ヒートアイランドは人工的な構造物や排熱によって、都市部を中心に気温が上昇する現象であるという違いがあります。
どちらも人間活動によって起こる現象で、ヒートアイランド現象は地球温暖化の要因の1つといえるでしょう。また、ヒートアイランドは都市部の気温が上がるだけでなく、乾燥化の原因にもなります。
ヒートアイランドによる都市部の乾燥化と暑さの関係
引用:気象庁「平均相対湿度の長期変化傾向」
13地点:網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、銚子、境、浜田、彦根、多度津、名瀬、石垣島
上の図は、ヒートアイランドが進んでいる大都市6地点と、都市化の影響が比較的小さいとみられている13地点の、平均の都市化率と平均相対湿度の変化を表しており、各都市においてこの100年間でどれくらい相対湿度が下がっているか、つまり乾燥化が進んでいるかを季節ごとにまとめたものです。
都市化率が低い13地点の平均に比べ、都市化率が高い大都市ほど湿度の低下率も高いことがわかります。
都市化率とは、観測地点の半径7kmの円内が「建物用地・道路・鉄道」などの人工被覆でどのくらい覆われているかを%で表したものです。
図を見てもわかるように、特に都市化することで、春や冬の乾燥化が進んでいることがわかります。
季節ごとに見た場合、ほかの季節に比べて夏の湿度低下はゆるやかです。6月~7月は梅雨で雨の日が多く、ヒートアイランドによる湿度の低下が起こりにくいことが理由であると考えられます。
引用:気象庁「大都市及び都市化の影響が比較的小さいとみられる13地点平均の月平均相対湿度の長期変化傾向」
ただし、梅雨明け後の8月を見ると湿度の低下率が大きくなっていることからもわかるように、夏(特に8月)も都市部を中心に乾燥化が進んでいるといえるでしょう。
配信: 防災ニッポン