ペットの防災対策! 同行避難の必要性や事前対策を紹介


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災害発生時に真っ先に行うことは、飼い主自身と家族の安全確保ですが、家族同様にかわいがっているペットの安全対策や避難なども普段から考えておく必要があります。

ペットの同行避難とは、災害発生時、飼い主がペットと一緒に安全に避難することです。

同行避難をスムーズに行うために、平常時の防災対策が必要です。また、住んでいる自治体の方針や対応も事前にチェックしておく必要があります。

本記事では、ペットの防災対策の必要性や事前対策を紹介します。

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災害時のペットの同行避難とは

まず、災害時のペットの同行避難の必要性や課題を紹介します。

ペットの同行避難の必要性

ペットの同行避難は、ペットを救うだけでなく、自身や家族の身を守るためでもあります。

過去の震災では、避難した飼い主が、ペットを心配して自宅に戻った際に災害に巻き込まれたケースもあります。

また、同行避難できないことでやむを得ず置いてきた、不妊や去勢の処置がされていない犬や猫が繁殖、増加した事例も発生しました。そうした動物が野生化して、人や野生動物に危害を与えたり、公衆衛生上の問題が起きたりする懸念もあります。

飼い主の安全確保や事後の問題の軽減のためにも、ペットの同行避難も念頭に、災害時に行動できるように備えておくことが大切です。

ペットの同行避難の課題

ペットの同行避難には、ふん尿やにおい、毛の飛散などの衛生問題があるほか、避難者の中には、動物が苦手な人や、動物に対するアレルギーのある人がいる可能性もあります。また、鳴き声がうるさいなどで、避難者との間でトラブルが発生するケースもあります。

トラブルや避難者からのクレームが原因で、やむを得ず車中で避難をする人もいます。

熊本地震後に熊本市とその他16市町村にアンケートを行った際には、仮設住宅において6市町村でペットに関連したトラブルが発生しており、職員が訪問して飼い主に指導したり、注意勧告のチラシを配布したりするなどの対応が行われました。

主に、無駄ぼえやふんの始末、ほかの犬にかみ付くなどの問題が発生していることから、普段からしつけ、ふん尿の始末などを徹底することが必要です。

災害時は、飼い主も避難者も大きなストレスを抱えることになり、些細なことでも大きなトラブルに発展する可能性があります。避難所でみんなが少しでも快適に過ごせるよう、ペットの同行避難を検討している人は、最低限のマナー、しつけを日頃から心がけましょう。

自治体が行っているペットの防災対策


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ペットの防災対策は自治体により異なります。公民館など避難場所となる施設が動物の受け入れを想定していないことから、同行避難の体制が進んでいない自治体もあります。

ここでは、いくつかの自治体の対応事例や事前に調べておきたいポイントを紹介します。

自治体の対応事例

まず、ペットの防災対策における自治体の対応事例を紹介します。

事例1.埼玉県川越市

埼玉県川越市は、市内のすべての避難所でペットを連れて避難できます。避難所で飼育できる動物の種類や飼い主の心得、注意事項も市のホームページに明記されています。

参考:埼玉県川越市「ペットの同行避難について」

事例2.大分県別府市

大分県別府市では、2023年8月から「ペット同伴専用避難所」を試行的に設置しています。ペットを飼っている人のみが利用できる避難所のため、飼い主も避難者にも精神的なストレスが軽減される効果が期待できます。

参考:大分県別府市「ペット同伴専用避難所の試行的設置」

事例3.石川県金沢市

石川県金沢市では2022年4月から、動物愛護管理センターで災害発生時に被災者のペットを一時的に預かる一時保護設備の供用を始めました。感染症のまん延対策や、飼い主が病気になった場合などに預けることも可能です。

参考:石川県金沢市「動物愛護管理センター一時保護設備について」

事例4.千葉県柏市

千葉県柏市はすべての避難所で屋外の同行避難が可能で、屋内避難についても受け入れスペースを設けている施設が多くあります。学校であれば音楽室や技術室のように、一部の教室をペットの受け入れ場所にするなど工夫されています。

参考:千葉県柏市「ペット避難」

事例5岡山県倉敷市

岡山県倉敷市ではペットの同行避難を基本としていますが、原則としてペットは屋外や個人の車中での避難となっています。ただし、2018年7月豪雨時には、避難所生活の長期化に伴ってペット同伴者専用の避難所を開設したこともあり、臨機応変な対応を行っています。

参考:岡山県倉敷市「災害時のペット同行避難について」

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