ちょっと待って! 年金支給開始の繰下げって本当におトク?

繰下げで増額年金額≦健康保険料の負担増

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、例えば夫婦2人世帯で、ともに会社員をしていた場合の月額平均年金受給額はおおむね26万円です。

 

もし、ご夫婦の年齢がほぼ同じで老齢年金の支給額も同様であった場合、2人ともに繰下げ請求を最大70歳とすると、計算上は26万円×1.4=36万4000円となり、年間では436万8000円です。もしこれ以外に所得がなかったとすれば、この老齢年金額を計算の基礎にして世帯所得が決定されます。その結果、健康保険料のベースも上がってしまい、健康保険料納付額が予想以上に増えてしまう可能性もあります。これでは、老後の楽しむ時間を犠牲にして繰下げ請求をした意味がなくなってしまいます。

 

人生を楽しむ時間と心配のない収入確保のバランス

歳を重ねれば、体力的な衰えも目立ってきます。老後の家計運営に心配がないように収入を確保することと、体が自由になるうちに人生を楽しむ時間を確保することのバランスをとるために、老齢年金の裁定請求をする前に健康保険料試算シートを活用して検討しておくことも大事ですね。

 

出典

名古屋市 令和5年度 名古屋市国民健康保険料 概算早見表

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

 

執筆者:柴沼直美

CFP(R)認定者

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