枝優花さん、今月のTODO教えてください!『鈴木敏夫とジブリ展』や『異人たち』を観に行く、花見のリベンジなど

気になる展示やライブイベント、映画や演劇を観にいったり、おうちでゆったり読書をしたり……カルチャーからレジャーや美容まで、やりたいことが盛りだくさん。この連載ではゲストのみなさんのやりたいことや予定をくわしく伺います。第1回目は、映画監督 / 脚本家 / 写真家の枝優花さん。「4月はいつもよりカルチャーに触れて、自分のプライベートの時間を濃くしていきたい」という枝さんの4月のTO DOリストをご紹介。


枝優花

1994年群馬県生まれ。映画監督、写真家。2017年、主演に穂志もえかとモトーラ世理奈を迎えた初の長編映画『少女邂逅』を発表。「MOOSICLAB2017」で観客賞を受賞したほか、国内外で高い評価を得る。そのほかindigo la End、マカロニえんぴつ、羊文学、崎山蒼志、Awesome City Clubなど様々なアーティストのミュージックビデオ撮影や、アーティスト写真撮影も手掛ける。また、ドラマ25「クールドジ男子」(テレビ東京ほか)、ドラマシャワー「ワンルームエンジェル」(MBSほか/全話演出担当)、ドラマストリーム「瓜を破る 〜一線を越えた、その先には」(TBSほか)など。ドラマ主題歌「恋は盲目」(ヤングスキニー)のMVの演出も担当している。

映画『異人たち』を観にいく

2017年に製作された映画『荒野にて』のアンドリュー・ヘイ監督の新作です。『荒野にて』は成熟する前の多感な時期を迎えた15歳の少年と馬の話で、言語を超えたものを撮っていたからこそ、言葉でごまかせないもの、何を美しいと思っているのかという監督の本質がかなり投影されていると感じました。

あと、私は悲しいシーンを撮影する時、泣き顔を直接撮るのではなく、遠くから撮ったり、逆光で顔があまり見えないようにしたりするんです。人の悲しみはその人のものでしかないから、わかりきることはできない。一方で寄り添いたい気持ちはあるけれど、そこに自分が踏み込んでいくことはできないなと思うんですよね。だから、そっと遠くから見守るように撮影したい。アンドリュー・ヘイ監督は、そういった人と感情との距離感の捉え方や感覚が、自分とすごく近い気がして。その眼差しがすごく信頼できますし、「この監督が撮るものを追いかけたい」と思っているんです。前情報はあまり入れずに観に行こうと思っていて、『荒野にて』以降の7年の間に監督が何を感じて、何を新たに撮りたいと思ったのかを見ることができるのをすごく楽しみにしています。

『異人たち』

2024年4月19日(金)公開
キャスト:アンドリュー・スコット, ポール・メスカル, ジェイミー・ベル, クレア・フォイ
監督:アンドリュー・ヘイ
原作:「異人たちとの夏」山田太一著(新潮社刊)
【R15+】15歳未満の方は、ご覧になれません。

HP

買いためていた小説たちを読み切る

映画と本と音楽に関してはお金を厭わないと決めていて、気になった本は買うようにしています。でも、仕事に支障が出るくらい本の世界に入り込みすぎてしまって切り替えができなくなるので、がっつり1冊の本を読むのは苦手なんです。

今は現場がなく、脚本を執筆していて、自分の内面に潜ったり向き合ったりする時期にしたいと思っていて。今なら本の世界に入り込めるし、何かヒントがもらえるんじゃないかなと。そんななかタイトルに惹かれて買ったのが、寺山修司さんの作品集『さみしいときは青青青青青青青 ─少年少女のための作品集』(筑摩書房)。寺山修司さんの作品をすごく読んできたわけではないのですが、気になる言葉や感覚が散りばめられていたのが気になって読み始めました。

あと、ずっと家に置いてあって読んでいなかったカフカの『審判』(白水社)と、オーストラリアの作家ショーン・プレスコットのデビュー作『穴の町』(早川書房)を読もうと思っています。ありえないことが起こって、そこから巻き起こる不条理を描いている作品が好きで、そういう本を探していた時期に出会った本たちです。本の世界に入り込んでも大丈夫な時期だからこそ読める作品だなと思います。

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