話題の【風呂キャンセル界隈】なぜ入浴が「好き」派と「しんどい」派に分かれるか? 根本的理由を心理カウンセラーが解説

話題の【風呂キャンセル界隈】なぜ入浴が「好き」派と「しんどい」派に分かれるか? 根本的理由を心理カウンセラーが解説

はじめに

 お風呂に入るのがしんどい――。風呂に入ることをキャンセルする「風呂キャンセル界隈(かいわい)」というキーワードが、2024年4月30日(火)、X(旧ツイッター)でトレンド入りしました。「風呂キャンセル界隈」とは、風呂をキャンセルする、つまり入浴しない(できない)ことが日常的に発生する人たちを表す表現です。この言葉に「わかる」「そうそう!」と同意するコメントがたくさん寄せられました。特に、メンタルの不調や、うつ病などを抱えている場合の入浴がいかに困難かを主張する声が多く見られました。

 一方で「入浴は当たり前」「入らないのは不潔」など否定する意見も……。なぜこのように意見が分かれるのでしょうか? この意見の食い違いを、「ワクワク派」と「ホッとしたい派」この2つのタイプの違いから考えてみました。

「ワクワク派」と「ホッとしたい派」に分けて考える

 引越しの場面で考えてみましょう。どちらがワクワク派で、どちらがホッとしたい派ですか?

A : 新しい土地や人との出会いは、楽しみ
B : 新しい土地や人との出会いは、不安

 答えは、Aが「ワクワク派」、Bが「ホッとしたい派」です。

 Aの「ワクワク派」タイプは、変わることはワクワクすることと捉え、変化を好みます。この反対に、不快なことが苦手です。キーワードは「快感と不快」そして「変化」 です。

 Bの「ホッとしたい派」タイプは、変わることに対し不安を抱きます。つまり、同じであることに安心感を持ちます。キーワードは「安心と不安」そして「不変」 です。

 では「入浴」に当てはめてみましょう。“風呂に入らないこと”を「不潔だ」と捉えることは、不快感の延長であり、ワクワク派の人の主張となります。これに対し、ホッとしたい派は、入浴の際の準備や手順、さらに入浴後の細々としたことなどを考えて不安になります。だから、その不安を解消するために「入浴するのをやめよう(=風呂キャンセル)」という状況が生まれるのでしょう。

 入浴しないことを「不快」と捉えるのか、それとも「不安の解消」と捉えるのか、この違いではないでしょうか。快感と安心を比べた場合、ホッとしたい派の場合、安心感を得る方を優先させます。

 快感を求めるワクワク派と、安心を求めるホッとしたい派について、どちらが良い・悪いというものではありません。あくまでも、捉え方の違いです。また、どちらかに明確に区別できるものでもありません。ケースバイケースで使い分けができます。元々、風呂が苦手、嫌いというタイプも一定数存在します。ただここでは、あくまでも「入りたいけど入れない」という人を念頭に書いています。


タイプが違えば捉え方も違う

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