新玉ねぎと普通たまねぎ、何が違う?
春先からスーパーなどでよく目にする「新玉ねぎ」。普通の玉ねぎと比べて、外皮の色が白く、食べるとみずみずしく、辛みが少ないように感じます。見た目や味わいだけでなく栄養面の違いもあるのでしょうか? この記事では、今が旬の新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いについて解説します。
玉ねぎには、黄玉ねぎ、白玉ねぎ、赤玉ねぎ、小玉ねぎなどの種類があり、「新玉ねぎは」主に黄玉ねぎ、白玉ねぎを早採りしたもの。また、「普通の玉ねぎ」として多く出回っているのも、黄玉ねぎです。つまり、黄玉ねぎは新玉ねぎとしても、普通の玉ねぎとしても流通しています。
▲普通のたまねぎは、収穫後に十分乾燥させるため、外皮が茶色くパリパリと水分がない見た目に。生産量の半分以上が北海道産です。
新玉ねぎと普通の玉ねぎは、品種の違いではなく、収穫から出荷までのタイムラグの違い。収穫後すぐに出荷されるがのが「新玉ねぎ」、タイムラグがあるものが一般的な普通の「玉ねぎ」です。普通の玉ねぎは、収穫後に保存性を高めるために1カ月ほど風に当たるなどしてから貯蔵し、十分に乾燥させたものを出荷します。「新玉ねぎ」は、その乾燥処理を行わず、収穫後すぐに出荷されます。
▲新玉ねぎは水分が多いため、辛みが緩和されて甘く感じます。
味の違いは、貯蔵期間が甘み・辛みの違いに影響
新玉ねぎは甘く、普通の玉ねぎは辛いという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。この違いはどうして生じるのでしょう。玉ねぎの甘み成分はブドウ糖や果糖などの糖質で、その含有量はトマトやイチゴよりも多いことが分かっています(※1)。
(※1)『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』にて、たまねぎ(りん茎・生)、赤色トマト(生)、いちご(生)の可食部100gに含まれる栄養成分を比較した場合
玉ねぎは本来とても甘みの強い野菜なのです。一方、辛み成分は主に硫化アリルによるもの。実は、収穫後すぐに出荷される新玉ねぎは水分が多い特徴があり、水分によって辛み成分が弱まり、甘みを感じやすいと考えられています。逆に、普通の玉ねぎは乾燥させる過程で水分が抜けて辛みを強く感じやすくなります。普通の玉ねぎを刻んでじっくり炒める“アメ色玉ねぎ”が甘く感じるのは、辛み成分が揮発し、たまねぎ本来の甘み成分が引き立つためです。
つまり、新玉ねぎと普通の玉ねぎで、含まれる栄養成分が異なるのではなく、甘み成分と辛み成分のバランスが異なり、水分が多く本来の甘みを感じやすいのが収穫直後の新玉ねぎ、乾燥させて辛みを際立たせたのが普通の玉ねぎということになります。
▲新玉ねぎスライス×かつお節の黄金コンビ。新玉ねぎを切る前に冷蔵庫で冷やしておくと辛みがやわらかくなります。ポン酢、めんつゆなど好みの調味で。
配信: LASISA