でも、いちばんつらいのは本人で、怠けているわけでもやる気がないわけでもなく、起きられないことに本気で悩む子も少なくない。
さらに、そうした子が後に不登校になるケースがあるそう。同志社大学赤ちゃん学研究センター教授で、「子どもの睡眠と発達医療センター」センター長の小西行郎先生は言う。
「睡眠と不登校の関係は密接です。特に中学で不登校が増えるのは、『中1ギャップ』といって、新しい生活や友達の関係でいろいろ問題を起こす原因となるといわれています。しかし、塾通いや部活で帰宅が遅くなること、部活の朝練で朝早く起きることで、小学生の頃より1~2時間睡眠時間が減るため、小学生の頃から徐々にたまっていた睡眠不足が、中学に入って一気にパンク状態になることもあるのです」(小西先生)
実際、福井県美浜町では、中学校で不登校になるケースが増えたことから、医師の指導で同町の小中学校に睡眠の調査をしたところ、学校ごとの不登校の多い・少ないが、子どもたちの睡眠時間と一致したという事例もあったという。
さらに、同町では毎日何時に寝て何時に起きたかの「睡眠表」を作り、生活のリズムを整える「眠育」を行った結果、5年で不登校がゼロになったという結果も出ている。
●4月は頑張り過ぎる時期! GW明けの疲れに注意
逆に、「睡眠障害」を正しく理解していないと、ただ無理矢理起こせば良いと考えてしまいがち。いちばん困るのは、学校の先生の間違った対処だという。
「不登校の子が運動会や修学旅行などのイベントに行くと、『その気になれば来られるよね?』『ほら、やればできるじゃない!』と言う先生がいます。でも、1~2日だったら、頑張って行けるんです」
そもそも睡眠障害になる子はみんな真面目な子ばかりであり、本人のやる気の問題ではないということを、大人がきちんと理解する必要があるそうだ。
「ちなみに、睡眠障害のある子が不登校に陥りやすいのは、5月の連休明けと、夏休み前後。4月は新しい環境の中で一生懸命頑張っているため、睡眠障害も治ったように見えますが、そうした疲れが一気に出るのがGW明け頃。また、疲れがたまっている夏休み前や、生活リズムの崩れる夏休み明けも注意が必要です」
きちんと眠れていなくても、疲れていても、子どもは本来、一生懸命頑張ってしまうもの。にもかかわらず、「朝起きられない」のだとしたら、それを「怠け」と決めつけず、子どもの規則正しく十分な時間の睡眠確保のために、親も一緒に頑張ってみる必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)