高齢化が進んでいる日本社会。その中で挙げられる問題の1つに、孤独死があると思います。離れて暮らす高齢の親を心配する家族の話がテレビで取り上げられているのを私もよく目にしていました。今回は、そんな境遇にある私の友人が対策として見守り機能を使ってみたところ、思わぬ落とし穴があったという話を紹介します。
義母の要介護生活の始まり
その友人は、結婚を機に県外へ引っ越しました。そして、妊娠を機に、義両親と敷地内同居を始めました。当時すでにリタイアしていた義両親は、会社員の共働きである友人夫婦とは生活時間帯がずれていたこともあって、お互いあまり干渉することもなく、平和に暮らしていたそうです。
ところがある日、義母が倒れ、そこから要介護の生活が始まりました。高齢だった義父は、それを機に家事・炊事など日常生活をほぼすべて担うことに。俗に言う老々介護が始まったのです。けれど、介護生活の始まりにはいろいろな手続きがあります。当時義父はまだシャンとしていましたが、それでも、こまごまとした手続きはどうしても友人夫婦がおこなうことになったそうです。
さらに、今までは日常生活のほぼすべてを義母がおこなっていたこともあり、義父は洗濯機の使い方やゴミの分別すらまったく知らなかったのだとか。そのため、最初はいろいろな日常生活の説明に手間取ったと言います。それでも、義父が日常生活にまつわるさまざまな仕事を覚えると、再び生活が回り始め、半年ほどたったころには、また穏やかに日々が過ごせるようになったそうです。
便利なはずの見守り機能だったけれど…
ところが、数年後に義父が他界し、介護の必要な義母がひとり残されることに。しかし、義母は断固として自分の住んでいた家を離れることも同居も拒否。話し合った末、昼間はヘルパーさんに入ってもらうことになりました。しかし、まひが残ってひとりでは満足に動けない義母が誰もいないときに困ったら、どうすれば良いのか。考えた末、友人夫婦は「見守りアラート」というものを導入したのです。これは、何かがあったときに、スイッチを押すだけで相手に連絡が行くというもの。簡単な操作なので、軽い認知症とまひのある義母でも使えるだろうと選んだものでした。
最初のうちは、使って良いかどうか迷い、あまり使用しなかった義母。それこそ「お風呂のお湯がなぜか温まらない」「薬が奥に落ちてしまった」など、本当に困ったときにだけ連絡がありました。しかし……時がたつにつれ、義母のアラートを鳴らす頻度がどんどん増えていったと友人は言います。それも、緊急の用事だったらまだわかるのですが「明日は何曜日か」「〇〇があと1袋になったから買ってきてほしい」「テレビでやっていた〇〇が食べたい」といった緊急性があるとは思えないような内容まで、昼夜問わず鳴らされるようになってしまったのだそうです。
配信: 介護カレンダー