高齢者だけでなく若い女性も危ないって本当!?夜間や家の中でも発生する熱中症についてお伺いしました。

高齢者だけでなく若い女性も危ないって本当!?夜間や家の中でも発生する熱中症についてお伺いしました。

熱中症の危険性はかなり周知されてきましたが、

「日中、スポーツや屋外にいるときに気をつければいいんでしょ?」

「子どもや高齢者は危ないかもしれないけど・・・」

と、ちょっと他人事になっていませんか?

実は屋内の夜でも熱中症は発生しています。

今回は、若い女性であっても気を付けてほしい夜間熱中症について産業保健師の本田和樹さまにお話を伺いました。

家の中にいて、夜でもおこる?!若くても注意!夜間熱中症

家の中、それも夜間にも熱中症が発生することをご存じでしょうか。

環境省の報告によると、東京23区内における熱中症による死者200人のうち、約9割は高齢者、約9割は屋内、約3割は夜間で発生しているとのこと。

また、熱中症で救急搬送された患者の属性を見ると、乳幼児:0.5%、少年:8.1%、成人:33.5%、高齢者57.9%と、やはり高齢者が過半数を締めますが、成人は次に多く、若い方でも油断できないことが分かります(出典:大臣官房環境保健部環境安全課 「熱中症の状況と対策について」 令和3年1月28日)。

ヒートアイランド現象やフェーン現象、地球温暖化などの影響により、特に都市部の夜間気温は非常に高くなっています。

今回は、夜間に発生する熱中症の原因と、その対策についてお伝えします。

部屋の室温・湿度、気にしていますか?

皆さんの自宅に室温計や湿度計はありますか?

普段から室温や湿度を気にしているという方は、そう多くはないのではないでしょうか。

例えば、気温が高い日中にお出かけし、夜帰宅してドアを開けると、外よりも部屋の空気の方が暑いと感じた経験が一度はあると思います。

夜間も、家の断熱性や日中の日当たりによっては、外壁・屋根・バルコニーからの熱が影響し、部屋が高温になることがあります。

また、就寝中に窓を締め切っている場合は風通しがなく、夜間熱中症が起こりやすくなります。

他にも、寝室にエアコンを設置していない、節電の意識からエアコンを使用しないなども、夜間熱中症の原因につながります。

室温と合わせて、部屋の湿度にも注意が必要です。

湿度が高いと、体温を下げるための汗をかきにくくなり、寝ている間にも体温が上昇してしまいます。

高齢者だけでなく、ストレスや更年期症状でも自律神経の乱れから体温の調節機能がうまく働かなくなることがあるため、疲労をためている女性は室温だけでなく湿度を意識することをお勧めします。

夜間熱中症を防ぐためにできること

・室温が高いと感じたら、窓を開けるなどして換気をおこなう。

・入浴の前後・寝る前に水分をしっかりとる。

※アルコール飲料は利尿作用があり、水分としてカウントできません。

・寝具には通気性や吸水性の良いものを選ぶようにして、よい睡眠をしっかりとる。

・眠るときのナイトウェアには、麻や綿など通気性のよい生地を選ぶ。

※ぴったりと体に合ったサイズのTシャツよりも、ゆったりとしたサイズのものを選んだり、前開きのタイプを選んだりすることで体の熱を逃がすようにしましょう。

・目が覚めた時にいつでも水分を補給できるよう、枕元に水を用意しておく。

・夜間もエアコンを使用する。

※先ほどの環境省の報告にも、屋内で熱中症により亡くなった方の9割はエアコンを使用していなかったとあります。冷えが気になる時は、眠る位置を変えたり、エアコンの風向きを調節したり、扇風機・サーキュレーターを利用することで、冷風が直接当たらないような工夫をしてみましょう。

熱中症の症状が出てしまったら

寝苦しさだけでなく、めまい、だるさ、けいれんなど、熱中症を疑う症状が出ている場合は、服を脱いで水を浴びる、首・わきの下・足の付け根に保冷剤をあてるなど、身体を冷やすことが重要です。

そのような対応をしたうえで、水分や塩分を摂りましょう。

意識がない、自力で水分が取れない、上記の行動をとっても症状が改善しないという場合は、救急車を呼ぶ、または救急外来を必ず受診してください。

熱中症は死に至る可能性のある非常に重篤な病気です。

日差しの強い炎天下で起こるだけでなく、夜間の室内でも発生します。

一人ひとりが予防・対処法を実践することで、熱中症の発症、重症化を防ぐことができるということを、ぜひ知っていただきたいと思います。

執筆者

本田和樹

株式会社エムステージ産業保健事業部 

保健師業務マネージャー

看護師として急性期精神病院で5年間勤務したのち、2020年エムステージ入社。

産業保健師の業務委託事業立ち上げに携わり、現在は複数の企業で保健師として実務をおこなう。

労働と精神衛生についての啓蒙活動、寄稿などもおこなっている。

取得資格:保健師、看護師、養護教諭一種、第一種衛生管理者等

株式会社エムステージ『産業保健トータルサポート』

https://sangyohokensupport.jp/

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キレイ研究室
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「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
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