重要な内容を含む「別伝」もすべて現代語訳
『日本書紀」には「一書にいう」という形で多くの別伝が記されている。
一般向けの『日本書紀』の本のほとんどが別伝を割愛しているが、じつは別伝の中には重要な内容が含まれており、また別伝を割愛してしまうと辻褄が合わなくなる部分も出てくる。
そのため同シリーズは、別伝もすべて現代語訳して解説をプラス。『古事記』にない神話のバリエーションを楽しむことができる。
著者は女子大や社会人講座で人気の寺田惠子氏
『日本書紀』は30巻もあり、「長い」「難しい」と思われがちだ。しかし、同シリーズは女子大や社会人講座で人気の寺田惠子氏(学習院女子大学、和洋女子大学講師)が手がける。
寺田氏は社会人講座で、原文を一文一文、現代語に訳しながら解説をしていくスタイルで、30巻を、約8年をかけて3回おこなっている。受講者からは、当時の人々の様子が目の前に浮かぶようだといった声がたくさん寄せられているという。
同シリーズはその講義録をベースに、できるだけ読みやすく構成されている。
寺田氏による解説も同シリーズの魅力だ。
例えば第1巻では、「男女の交わりのシーンを神話に入れたのはなぜか(国生みの段)」「世界の神話におけるアマテラスの特殊性(天のイワヤの段)」「大地母神としてのイザナミ、そして生と死の起源(神々の誕生の段)」「ヤマタノオロチの正体(ヤマタノオロチの段)」などについて解説。
ストーリーの面白さだけではなく、そこに込められた深い意味、また比較神話学の観点から、当時の人々が考えた「日本」を読み解いている。
配信: STRAIGHT PRESS