失恋に自傷行為。 名作『ひまわり』から垣間見えるゴッホの波乱万丈な人生

世の中にはたくさんの絵画がありますが、誰もが知っていて「名画」と呼ばれる作品はごく一部。例えば、ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』、ゴッホの『ひまわり』。一体、これらの名画にはどんな“すごさ”があるのでしょうか?

1年に300以上の美術展に足を運び、ブログやSNSでレビューを行う青い日記帳さんは、「名画とは、その時代に誰も知らなかった方法やテーマで世の中を驚かせた作品を意味します」と話しています。それでは、青い日記帳さんの解説とともに、時代背景や画家の知られざるエピソードをふまえて名画をじっくり楽しんでみましょう! ちょっと敷居が高く感じる美術鑑賞が身近なものになりますよ。

※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。

ドラマチックな人生だから描かれた、ゴッホ『ひまわり』

死後有名になった画家の一人が、フィンセント・ファン・ゴッホです。

有名になった理由の一つがドラマチックな人生にあります。失恋して生涯独身、職を転々とした後に画家になり、絵画制作をがんばったものの精神を病み、死んでしまう。今では有名な画家ですが、気性が激しいために波瀾万丈な生涯を送りました。

そんなゴッホの代表作が、7点描かれた『ひまわり』です。精神を病んで、光あふれる南仏へ移住後、画家仲間との共同生活を計画していたゴッホ。後から来る仲間の到着を待ちながら、幸せな気持ちで描いたのが『ひまわり』でした。暗い色調の作品も多いゴッホですが、この作品は当時の幸せな気持ちを表すように明るい色合いです。しかし共同生活はうまくいかず、ゴッホは耳を切り落とす事件を起こしてしまう。それを知ると悲しい絵にも見えます。

つらいことが多くありながらも絵画を描き続けたゴッホの絵は、現在では数十億円もの高値で取引されるようになりました。

ゴッホの幸せな気持ちがあふれた名作

■7作の中でもゴッホお気に入りの一枚

7つの作品の中でも最も有名な作品で、15本のひまわりが描かれています。共同生活していたゴーギャンも欲しがりましたが、ゴッホ自身も最も気に入っていて手元に置いていました。
『ひまわり』1888年/ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス、ロンドン)

■薄いブルーの背景が美しい第一作目

ゴッホ本人も満足していたよい出来だったとされる作品。
『ひまわり』1888年/ノイエ·ピナコテーク(ドイツ、ミュンヘン)

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