あの人も猫を愛した…『猫好きで有名な芸術家』8選 猫とアートは相性バツグン?

あの人も猫を愛した…『猫好きで有名な芸術家』8選 猫とアートは相性バツグン?

猫は、人々を魅了する不思議な魅力を備えた動物です。人と長く一緒に暮らしていますが、その関係性は、どの動物よりも人間と対応であり、時には支配的であったりもします。そんな猫は、さまざまな絵画やアート作品、文学作品などに登場し、またその作品を生み出した芸術家たちに愛されてきました。今回は、そんな猫をこよなく愛した芸術家をご紹介します。

「猫好きで有名な芸術家」とは

古今東西、猫たちは多くの人々に愛されてきました。それは、古代エジプトの壁画を見ても明らかです。この壁画を筆頭に、猫たちは人々が作り出したあらゆる芸術作品の中に登場し、またその作品の作者たちからも多くの愛を受けてきました。

それは絵の世界だけでなく、彫刻、音楽、文学、現代アート、映像作品など、幅広い分野にわたり、数え上げたらきりがありません。それほど芸術と猫は、相性が良いのでしょう。

そこで今回は、特に「絵」を中心とした猫好きの芸術家についてご紹介したいと思います。

1.パブロ・ピカソ

1881年にスペインのマラガで生まれたパブロ・ピカソは、14歳から画家としての活動を始めました。1904年にフランスのパリに移住し、多くの画家達との交流を通して、次々と作風を変化させながら多くの作品を生み出し続けました。

生涯を通じて多くの猫と暮らしましたが、バリの街で出会った野良のシャム猫にミノーと名付けてかわいがっていたことが有名です。作品の中にも度々猫が登場しますが、作品の中の猫は恐ろしい存在であることが多く、1939年に描かれた『鳥を食う猫』などが有名です。

2.サルバドール・ダリ

1904年にスペインのフィゲラスで生まれたサルバドール・ダリは、20世紀を代表する画家のひとりです。一度見たら忘れられないような強烈な印象の絵とともに、私生活におけるエキセントリックな言動でも有名でした。

そんなダリが大切にかわいがっていた愛猫は、「オセロット」という中型の野生猫でした。現在では家庭で飼育することが禁じられていますが、当時はワシントン条約などない時代でした。

とはいえ、オセロットを連れてレストランで食事をしていたそうですから、天才、奇才だけではなく、奇人などと呼ばれたこともあるという話も頷けます。

3.アンリ・マティス

1869年にフランスで生まれた画家です。「フォービズム(野獣派)」と呼ばれる活動の先駆者として活動し、「色彩の魔術師」との異名も持っていました。

1910年に描いた『マルグリットと黒猫』は、娘の膝で寝ている黒猫の絵で、愛猫が家族の一員となっていることをよく表しています。

しかし、実際マティスの作品には、あまり多く猫が描かれることはありませんでした。マティスにとっての猫は創作対象ではなく、安らぎを与えてくれる存在だったのかもしれません。

4.藤田嗣治

1886年に生まれた藤田嗣治は、フランスのパリで活躍した、日本を代表する画家の一人です。藤田の猫好きもとても有名で、作品の中にもよく猫が登場します。

テレビの美術番組では、ときどき藤田の特集が組まれますが、その中でも必ず猫好きだったエピソードや猫が描かれている絵が紹介されていますので、目にされた方も多いのではないでしょうか。

5.猪熊弦一郎

猪熊弦一郎は、1902年生まれの、昭和期に活躍した画家の一人です。三越百貨店の『華ひらく』という包装紙のデザインでも有名です。

猪熊も30代の頃にフランスに渡り、アンリ・マティスの指導を受けました。そこで藤田嗣治とも出会い、共同生活をしたそうです。猪熊の作品にもよく猫が登場します。

6.エドワード・ゴーゴリー

1925年生まれの、アメリカの絵本作家です。絵本の世界では異色な、ナンセンスや残酷で不条理に満ちた世界観を表現した作品が多く、子どもが死んでいく様子が描かれている『ギャシュリークラムのちびっ子たち』という作品が有名です。

ただし、猫が嫌な目に遭うシーンは描かない、ということでも知られている作家です。

7.ルイス・ウェイン

ルイス・ウェインは、19世紀末から20世紀にかけて活躍した、イギリスのイラストレーターです。有名な猫好きで、作品には猫ばかりが登場します。後ろ足で立ち、いきいきとした表情で擬人化された猫のイラストは、とても人気を博しました。

なお、猫保護協会などのチャリティー団体の議長に就任するなど、実社会でも深く猫に関わっていたようです。

8.歌川国芳

猫の絵と言えば、日本の浮世絵にもたくさん登場します。特に有名なのが、江戸後期に活躍した、歌川国芳でしょう。

『其のまゝ猫飼好五十三疋(みょうかいこうごじゅうさんびき)』などのユニークな作品が多いのですが、絵の題材に猫を取り入れるようになったのは、晩年のことです。

仕事場では、いつも懐に2〜3匹の猫を入れて絵を描いていました。国芳の家の仏壇には、回向院で供養してもらった愛猫の戒名を誌した位牌が飾られていたということです。

芸術家が猫を愛する理由

多くの芸術家が猫を愛した理由は、それぞれに異なるでしょう。それは、しなやかで優雅な立ち姿や振る舞いだったり、気位が高いくせに時々見せる甘えたがりの表情だったりするのかもしれません。

しかし何より、常識に囚われ、周囲に埋没してしまっては生み出せない芸術作品を創出しなければならない芸術家にとって、いつまでも野性味を失わず、飼い主に媚びず、あくまでも独立して自由に生きようとする猫たちの生き様は、とても魅力的で、共感できる部分が多いのかもしれません。

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