人のお皿からおかずを取ってしまう子どもに、ルールを覚えてもらうためには?

声かけを変えれば、子どもの行動が変わる!

お風呂に入ってくれない、片付けをしてくれない、食事中に席を離れてしまう…などなど、大人も悩んでしまう子どもの「困った行動」。注意しても上手くいかないのは、声をかける方法が間違っているかもしれません。

3歳と2歳の子どもたちを育てながらも「これでいいのかな?」と不安を抱えるマコさんに、「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」のスペシャリストで、児童発達学の専門家・華子先生がアドバイス。
『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から、人のお皿からおかずを取ってしまう子どもへの言葉かけの方法についてお届けします!

登場人物

マコとユウ:子育て中の新米夫婦。「自分たちはこれでいいのか」、不安になりながら子育て中。

アララ:きょうりゅうが大好きな3歳半。あまり言うことを聞いてくれない。

ユララ:マイペースで食いしん坊な2歳児。気の強さを感じて、ママのマコは心配。

華子先生:島村華子先生。子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にする「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」についてくわしい児童発達学の研究者。上智大学卒業後、カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学で博士号を取得(児童発達学)。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員育成に携わる。

他人のおかずを奪う子には、理由がある。

ほぼ毎日、人のお皿からおかずを取るユララちゃんに困っている父親のユウさん。




ユウさん「う〜ん、ユララは食い意地がはってるのかな」
華子先生「それは大人の主観ですね」
ユウさん「(ハッ、思い込んでただけか…)」
華子先生「ユララちゃんは心の理論がまだ成長してないだけですよ。心の理論とは他者の気持ちを理解する能力のこと。4歳くらいから少しずつ身につきます。ユララちゃんは今世界の中心にいるので、自分がアイス好きだと世界中の人もアイスが好きと思ってますし、他者との境界線もないので他人のものも自分のものなんですよ。だからお父さんのお皿に乗ってるおかずも自分のものなんですよ」



ユウさん「ユララくらいだとあたりまえなんだ…」
華子先生「あと考えられる理由としては…お皿って子ども用のお皿ですか?」
ユウさん「はい、子ども用のプレートですね」
華子先生「大人の真似をしたい時期でもあるので、大人と同じお皿で出してみるのもいいかもしれません。それでもおかずを取られそうになったら断ってもいいんです」
ユウさん「いいんだ…」
華子先生「ちなみに断る時もまずは共感してからです。ここもしっかり境界線を引いてお家のルールを覚えてもらいましょう!『ユララはお父さんのお皿のおかず食べたいんだね』『でもこれはお父さんのだから、お父さんが食べるよ』と」





ある日の食事時。またユララちゃんがお父さんのお皿からおかずを取ろうとしました。
マコさん「ユララ!それお父さんのだよ」
ユウさん「ユララのお皿にも同じおかず乗ってるよ」
ユララちゃんは泣き出してしまいました。
ユウさん「(そうだった、うっかりしてた。同じお皿で出すんだ!)」
そこで、アララくんとユララちゃんのおかずを、大人用と同じお皿に変えて持ってきたユウさん。
ユウさん「はいっ。ユララもアララも大人と同じお皿デビューだね」
すると、ユララちゃんが一瞬で泣き止みました。
アララくん「アララもこのおさら?おとうさんとおかあさんとおなじだ〜!わ〜い!」
ユウさん「(アララがこんなに喜んでくれるとは…大人と同じって特別なことなんだなぁ)」
その後、おかずを取る回数はちょっぴり減ったそうです。

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