■若い人に多い機能性月経困難症
日常生活に支障をきたす生理痛の人は「月経困難症」と言われ、「器質性月経困難症」と「機能性月経困難症」の2つに分類されます。「機能性月経困難症」は、原因となる病気がない状態です。一般的に思春期から20代前半に多くみられます。
機能性月経困難症の人は、生理直前から前半まで、プロスタグランジンというホルモンが急に増えます。この物質は子宮の収縮を促して生理の経血を身体の外に排出する役割を果たします。この量が多すぎると
1.子宮収縮によるキリキリとした痛み
2.腰痛
3.だるさ
4.冷え
5.吐き気
6.下痢
等の症状を感じます。この状態の時に鍼灸治療をすれば、苦痛を取り除くことが出来ます。ちなみに、陣痛の痛みは、プロスタグランジンが原因です。また、生理痛のある女性は、生理痛のない女性より子宮内膜や経血に含まれるプロスタグランジンの量が多いことがわかっています。
生理後半は、骨盤を中心に血液の流れが悪くなり、下腹部の鈍痛や腰回りの重苦しい感覚を引き起こします。軽い生理痛の場合、血行を改善すれば症状改善が可能です。温める方法が有効ですので、灸治療が適しています。
■生理痛が重度になると生活の質が下がる?生理痛は根本治療が可能?!
鍼灸治療で、生理痛が軽減もしくは消失することを実感できたら、今度は根本治療に目を向けて戴きたく思います。
「根本療法」をご希望の人は、基礎疾患をお持ちかそうでないかで治療期間は異なりますが、月に1~4回の治療を6カ月から10か月程度継続して行うと、生理痛を感じなくなります。
広島大学大学院医系科学研究科の研究論文「日本人の若年および成人女性における月経困難症の重症度による生活の質:ウェブベースの横断的研究」によると、30歳未満の機能性月経困難症(原因となる病気がない生理)における生活習慣の調査では、健康に関するさまざまな要因(喫煙、飲酒、睡眠時間、朝食の摂取、中間の食事、運動)が、異なる症状の重症度(軽度、中等度、重度)に対してどのように関連しているか調査しています。この結果を見ると、いずれも有意な特徴がありません。生理痛は、生活環境とは関係なく生じているとしています。むしろ、生理痛以外にも生じる様々な症状が生活の質を低下させ、貧困になる点を問題視しています。生理に伴う様々な不調があるものの、周囲の理解が得られず、身体を休めることができない人はたくさんいることを、NHK「生理痛で学校に行きたくない 休みたくても休めない学生たちの実情」でも、取り上げています。生理痛の改善は、社会問題になっています。
高校生や大学生は勉強が忙しいので、とかく夜型の生活になります。朝方の生活に転換して、身体が冷える生活を回避することで、功を奏する場合もあります。朝の入浴を常時していると体調を崩しやすいので、入浴に関しては、JIJICO内にある下記コラムをご参照戴きたく思います。
朝風呂や朝のシャワーは自律神経のバランスに影響?入浴で気を付けるべき習慣とは
長湯は身体に良くない?熱いお風呂は危険!?安全な入浴方法とは
薬物治療(内科治療)で効果を得られない人は、鍼灸治療(内外科治療)をご検討戴きたく思います。
配信: JIJICO