のんびりペースで大丈夫!
焦らず見守る
トイレトレーニング
のんびりペースで大丈夫!
焦らず見守る
トイレトレーニング
トイレトレーニングを始めると、「早くおむつを卒業してほしい」と焦りがちです。でも、もっと肩の力を抜いても大丈夫。
のんびり見守りながら、子どもをサポートしていくポイントを小児科専門医がアドバイスします!
※この記事は小学館「ベビーブック 2024年6・7月合併号」の内容を掲載しています
イラスト/ささきともえ
教えてくれたのは… 藤井明子先生
医療法人社団育心会 児童発達部門統括理事。どんぐり発達クリニック及びさくらキッズくりにっく勤務。小児科専門医、小児神経専門医。
子どものペースを尊重することが大切
1歳から3歳にかけての子どもの心身の発達は個人差が大きく、トイレトレーニングの開始に適したタイミングや進めていくペースも一人ひとり異なります。そのため、周囲の子と比べて「うちの子は遅れているのでは」と焦る必要はなく、子ども自身のペースを尊重しながら進めていくことが大切です。子どもを見守る余裕を持つには、おうちの方自身が無理をしないことも大切なので、親子の生活全般に目を向けて「トレーニングでおしっこをもらしてしまうことがあっても、今なら対応できそう」と思えるタイミングで開始を検討することをおすすめします。
イライラするときは無理せずひと休み
おむつはいずれ自然とはずれるものなので、トイレトレーニングでうまくいかないことがあっても、おうちの方は「まあ、いっか」と気楽に考えましょう。イライラする場合、その背景には「家族の協力が得られず一人で子育てをしなければならないのがつらい」など、他の悩みが隠れていることも多いもの。まずは、おうちの方が「私は子育てをがんばっているよね」と自分で自分のことを認めてあげましょう。おうちの方が笑顔で過ごせることが子どもの安心感につながるので、疲れたときはおむつに戻してひと休みしながら、焦らず進めていってくださいね。
まずはここから始めよう!
トイレトレーニングにむけて今すぐできる準備
●トイレに慣れる機会をつくる
おむつ交換のときにトイレに連れて行ってするようにしたり、おむつについたうんちを親子で一緒にトイレに流しに行ったりして、トイレに慣れる機会をつくりましょう。トイレを使うときは明かりをつけ、快適な温度になるように環境を整えておくと、怖い印象がやわらぎます。
●絵本などでイメージをふくらませる
トイレトレーニングを題材にした絵本を親子で一緒に読み、「トイレは何をする場所なのか」のイメージをふくらませておきましょう。人形遊びが好きな子であれば、人形遊びをする中で、トイレに行っておしっこやうんちをするというシチュエーションをつくってみるのもおすすめです。
●おうちの方がトイレに行く様子を見せる
おうちの方が「おしっこがしたくなったからトイレに行ってくるね」と言ってからトイレに行き、「スッキリして気持ちがいいな」と言って出てくる様子を見せると、子どもは自分もトイレに行ってみたくなります。排せつの大切さが伝わるような言い方を意識しましょう。
次のページは
「ゆっくり! 気楽に!
トイレトレーニングの進め方」
ゆっくり! 気楽に!
トイレトレーニングの進め方
ゆっくり! 気楽に!
トイレトレーニングの進め方
トイレトレーニングに焦りは禁物です。まずは、下のチェックリストを満たしているかどうかを確認しましょう。
疲れたときはひと休みしながら、子どもとおうちの方にとって無理のないペースで進めていくことが大切です。
トイレトレーニングを始める前に
おしっこが出そうなときの
子どもの様子を観察する
モジモジする、股のあたりを触るなど、おしっこが出そうなときに子どもは何らかのサインを出すことがあります。おしっこのサインを把握しておくと、トイレトレーニングを進めやすくなります。
〈用意しておきたいトイレトレーニンググッズ〉
・補助便座
便座のみのシンプルなものを選ぶと、慣れてきた時に大人の手助けなしで子ども一人でも座れて便利。装飾つきのものは掃除のしやすさを確認して。
・足をのせる踏み台
足が床につかない状態だとお腹に力が入らず、排せつがうまくできない原因になることも。姿勢を安定させるために踏み台の用意を忘れずに。
・布パンツ
厚手のトレーニング用パンツは洗濯時に乾きにくいこともあるため、最初から薄手の布パンツを使うのでOK。子どもの好きな色・柄のものを。
トイレ前のチェックリスト
□ 歩いてトイレに行ける
□ 補助便座に座れる
□ 言葉の意味がわかり、意思表示ができる
□ おしっこの間隔が2時間くらい空く
チェックリストを
クリアしていなかったら
チェックリストを
クリアしたら
チェックリストをクリアしていなかったら
準備してもう少し待つ
焦らなくて大丈夫!
長い目で見れば、トイレトレーニングの開始が数週間や数か月遅くなっても、子どもの人生に大きな影響を及ぼすわけではありません。子どもの体が十分に発達していない状態で無理に始めても効果は期待できないので、ページ上で紹介した準備をしながらもう少し待ちましょう。
チェックリストをクリアしたら
トイレに誘い、便座に座らせる
トイレに補助便座と踏み台をセットしておき、「トイレに行ってみよう」と子どもをトイレに誘います。便座に座らせて、「おしっこ、出るかな?」と少し様子を見ましょう。何度か繰り返すうちに出ることが多いので、出なくてもがっかりしないことが大切です。
Q.どんなタイミングでトイレに誘えばいいの?
A おしっこが出そうなサインが見られたときにトイレに連れて行くと、トイレでおしっこが出る可能性が高くなります。朝の起床後やお風呂に入る前など、毎日同じタイミングでトイレに連れて行き、排せつのリズムをつくりながらトイレに慣らしていくのもよいでしょう。
おしっこが
出なかったら
トイレ以外の場所で
出たら
おしっこが
出たら
おしっこが出なかったら
便座に座れたことをほめて再チャレンジ
出なかったことを残念がるのではなく、「ちゃんとトイレまで行くことができたね」「便座に座れたね」と、できたことを言葉にしてほめましょう。そして、「おしっこがしたくなったら、ここでしようね」と教え、次におしっこのサインがみられたときなどに再チャレンジを。
焦らなくて大丈夫!
おうちの方が「おしっこをしてほしい」と強く願うあまり、頻繁にトイレに誘ってばかりいると、子どもはプレッシャーを感じてトイレに行くこと自体を嫌になってしまうことも。「今は出ないんだね。また今度ね!」とサラリと受け流すくらいのゆるい感じで気長にいきましょう。
トイレ以外の場所で出たら
おしっこが出たことに気づかせる声かけを
子どもが「おしっこが出た」という感覚を自覚できると、トイレに行くタイミングをつかみやすくなります。「今、おしっこをしたんだね」など、排せつの自覚を持たせる声かけをしましょう。
焦らなくて大丈夫!
おもらしをした場合、おうちの方がイラッとするのは自然なことです。いずれはトイレでできるようになるので、イラッとすることが続く場合はいったん紙おむつに戻してもかまいません。
おしっこが出たら
おうちの方の無理のないタイミングで
日中だけ布パンツにする
トイレでおしっこができることが増えてきたら、日中だけ布パンツへの切り替えを検討してもよいでしょう。切り替えてからしばらくはトイレに間に合わないことも予想されるので、おうちの方がそのような事態にも対応できると思えるタイミングでの切り替えをおすすめします。
Q.お出かけのときに布パンツにするのは不安です……。
A 外出先では「ここでおしっこをされたら困る」という場面は多いものです。その場合は「今日は紙おむつで行こう」という対応にして、親子が安心して過ごせることを第一に考えるので大丈夫です。
日中布パンツで
過ごせるようになったら
うんちは
日中布パンツで過ごせるようになったら
夜はもうしばらく紙おむつのままでOK
2~3歳の子どもなら、日中は布パンツで過ごせても夜間におしっこをしてしまうのは自然なことです。パンツに切り替えるのは、夜間におむつが一度も濡れないことが1週間ほど続くようになってからでよいでしょう。
Q.夜もパンツで寝られるようになるのは何歳ごろから?
A 5~6歳ぐらいになると、夜もパンツで寝られる子が多くなります。5歳を過ぎても1か月に複数回のおねしょをすることが続く場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
うんちは
焦らずに本人のペースで
「うんちは紙おむつでしたい」というこだわりが強い子もいます。踏ん張っている様子に気づいたときにトイレに連れて行き、そこでうんちが出ると、それ以降はトイレでするケースも多いですが、無理強いする必要はありません。
トイレトレーニングがつらくなったら
ひと休みして仕切り直し
うまくできないことが続き、おうちの方がイライラしてしまう場合は、紙おむつに戻してひと休みしましょう。
焦らなくて大丈夫!
小児科医の私でもわが子のトイレトレーニングには苦労しました。イライラするのは疲れているサインなので、無理してがんばりすぎないことが大切ですよ。
イラスト/ささきともえ デザイン/平野 晶 文/安永 美穂 構成/KANADEL
もっと教えて、先生!
Q.イヤイヤがひどくて
トレーニングが進まないときは?
→気になる答えは……
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この記事は小学館「ベビーブック 2024年6・7月合併号」の内容を掲載しています
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配信: あんふぁんWeb