全身でコーラを感じる!クラフトコーラ専門店・伊良コーラ(イヨシコーラ)が東京の銭湯とコラボイベントを開催。その理由とは?

全身でコーラを感じる!クラフトコーラ専門店・伊良コーラ(イヨシコーラ)が東京の銭湯とコラボイベントを開催。その理由とは?

お風呂で体を温め、疲れをとったあと、喉を潤すのによく冷えたドリンクを手に取る人は多いだろう。そんな湯上がりのドリンクとして、“クラフトコーラ”のパイオニアである伊良コーラ(イヨシコーラ)が名乗りをあげている。

イヨシコーラは2018年に東京都・下落合で生まれたコーラブランド。コーラ職人であるコーラ小林さんが、和漢方職人だった祖父から受け継いだ漢方の製法と工房を用いて、コーラの実を含むスパイスと柑橘類をふんだんに用い、独自の割合で調合して作り上げた。スパイシーでさわやかな甘味が特徴で、クラフトコーラブームの火付け役とも言われている。そのイヨシコーラが、東京都浴場組合とコラボイベントを開催。2024年6月23日(日)に「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」として、組合に所属する全銭湯(休業中を除く約420施設)でイヨシコーラを全身で感じられる変わり湯を体験できる。イヨシコーラを運営する株式会社GRAND GIFTの藤原直人さんに「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」開催のきっかけを聞いた。

■SNSでの声をきっかけに広がった銭湯との縁
イヨシコーラと銭湯の縁は2020年12月ころから始まった。

「イヨシコーラはキッチンカーでできたてのクラフトコーラの販売から始まり、その後、原液シロップ『魔法のシロップ』を販売するようになりました。そして百貨店から『お中元用にすぐ飲めるタイプの商品を作ってほしい』というお声がけがあり、魔法のシロップを天然水から作られた炭酸水で割った瓶詰めのものを作るようになりました。これがきっかけで、百貨店以外でもさまざまな場所で販売されるようになったんです。そうしたらSNSで『お風呂上がりにイヨシコーラがぴったり』と評価してくださる方が出てくるようになりまして、そこから銭湯をはじめとした温浴施設の方から声をかけていただくことが増えていきました」

そうしたなかで、イヨシコーラを湯上がりドリンクとしてだけではなく、製造過程で生じるコーラ粕を利用する動きが起きたのだそう。

「コーラシロップはスパイスや柑橘類を煮詰めて作ります。瓶詰めする際に、ある程度濾さないとラインを通っていかないので、スパイスの大きな固形部分や柑橘類の粒がコーラ粕として残ってしまうんですね。成分としては非常にいいものなんですが、使い道がなければ捨てるしかないものでした。そこで、高円寺にある小杉湯さんとの企画の一環で、手元にあったコーラ粕をネットに入れて、湯船に投入してもらったんです。すると、コーラがほのかに香るお風呂に入った方が、イヨシコーラにも興味を持ってくださって、湯上がりに飲んでくださる。ドリンクの売り上げは銭湯にも入浴料金以外の利益となります。捨てるはずだったものを再利用することで、イヨシコーラを知っていただくきっかけにもなるし、銭湯の収入も上がるし、双方によい企画になるという手応えを感じました」

この縁がきっかけで、小杉湯では定期的にイヨシコーラの湯を開催するようになった。そして、さらなる銭湯との縁が増えることになる。

「小杉湯さんと同じく東京で多くの方に愛される銭湯の松本湯さんと地域イベントをすることになりました。我々は下落合に本店を構えているんですが、落合駅からすぐのところにある松本湯さんとはご近所だったんですね。それで同じようにイヨシコーラの湯を開催しました。これがきっかけで、今の事務所の近くにある妙法湯さんをはじめ、各地の温浴施設の方々やお風呂好きの方に徐々に興味を持ってもらえるようになりました」

銭湯に週4日行くほどの銭湯好きで、「イヨシ銭湯部 部長」としても活動する藤原さんにとって、湯上がりのドリンクとしてイヨシコーラを選んでもらうようになることは会社として、藤原さん個人としてもやりたいことだったという。それだけに、コーラ粕を直接投入する形のイヨシコーラの湯には課題を感じていた。

「我々がコーラを作ったときに出る粕ですから、用意できるコーラ粕の量に限界がありました。粕を作るためにコーラを作るのでは本末転倒ですから。そして、香りやお湯の色にも課題がありました。イヨシコーラは黄金色に近い色味なので、コーラ粕を直接投入する形だとお湯の色がそこまで変わらないんです。香りもほんのりとしたものだったので、湯船に浸かったときにイヨシコーラであることをもっと体感していただきたいという想いがありました。なので、コーラ粕を使いつつも、多くの銭湯の方に使っていただけるように、銭湯業界では誰もが知っている入浴剤メーカーの健美薬湯(けんびやくとう)さんにお声がけをして、2023年2月からイヨシコーラの入浴料を開発してもらうことになりました」

■「大好きな銭湯文化に寄り添い、一緒に盛り上がりたい」
健美薬湯と開発した入浴料がデビューとなったのは2023年4月のこと。

「イヨシコーラはコーラの実をはじめとしたたくさんのスパイスを使用し、こだわりの製法で作っています。それもあって、瓶タイプの売価は1本500円近くになっています。イヨシコーラをもっと多くの人に知っていただくときには一定のハードルがあると感じていました。その一方で、こだわりの製法は大事にしたい。そこで、コアな原材料の配合はぶらさずに、少しでも手に取りやすい価格でたくさん作れるような形で展開していけないかと、製法をアップデートして缶タイプの飲料を開発しました。この発売記念イベントとして、東京、埼玉、京都、大阪、三重の約30の銭湯でイヨシコーラの湯を開催しました」

開発スタートから2カ月で入浴料ができあがったということは、開発は難しくなかったということだろうか?

「実は、入浴料はずっとアップデートを繰り返しているんです。もちろん我々は入浴料のプロではないので、技術的な部分は健美薬湯さんにお任せしています。ただ、お湯の色や香り、香りの残り方には代表のコーラ小林を中心に非常に強いイメージを持っていますので、それを共有しながらブラッシュアップを続けています。銭湯のお湯は循環していますから、銭湯開店直後と、夜遅くなったときとでお湯の状態は変わります。お風呂の成分との相性によっての香りの残り方もいろいろです。メンバーそれぞれでお風呂に入って、オープン直後に入った人と、夜深くなってから入った人とでヒアリングをして、香りやお湯の色、見え方、イヨシコーラをどこまで感じられたか。銭湯の方からもフィードバックをもらいながら試行錯誤をしています。6月23日(日)のALL TOKYOにあたっても、タイプAとタイプBの2つのプロトタイプを作って、事務所近くの銭湯の方にご協力いただきどちらがよいか比較したりしました」

どの時間帯・タイミングでもイヨシコーラを感じられるように、今後も開発を重ねていきたいと話す藤原さんだが、ALL TOKYOの開催にあたっては手応えも感じているのだそう。

「イヨシコーラはまだ駆け出しのブランドで、知名度も一般的ではありません。いきなり最初から東京の全部の銭湯でイベントをやりたいと言っても無理があります。何年もかけて銭湯に足を運び、湯上がりの定番ドリンクとしてイヨシコーラを置いてもらう銭湯の数を増やしていきました。イヨシコーラを知ってくださった銭湯の方が、別の銭湯につなげてくださった。そのつながりが東京都浴場組合との正式タッグイベントである『イヨシコーラの湯 ALL TOKYO』になったと思っています。入浴料についてもこれまでのフィードバックを反映したものができたと考えています。製造や段取りにもハードルがありましたが、イベントをなんとか実現することができてうれしく思っています」

かつては人々のインフラという位置付けであった街の銭湯。家に風呂があることが当たり前になった現代においては、銭湯の休業・閉業は珍しいことではない。イヨシコーラは銭湯の救世主となるのだろうか?

「僕らが銭湯文化を支えているとは全く思いません。ただ、イヨシコーラと銭湯との相性がいいのは事実なので、一緒に盛り上がっていけたらいいなと思っています。自宅にお風呂があるのが当たり前で、銭湯に行く必然性がなくなっていくなかで、わざわざお金を払ってお風呂に入りに行っているのは銭湯に“特別な体験”を求めているんだと思います。ならば、湯上がりも特別なものにしていただきたい。イヨシコーラも生活必需品ではなくって、ちょっと特別な気持ちになりたいときに飲まれているのだと思います。そこがマッチしたのでしょう。どういうときにイヨシコーラを飲めばいいのか規定できていなかったなかで、湯上がりの定番としてイヨシコーラを手に取ってもらえる機会が広がるのは非常にありがたいことですね。日常で“特別な瞬間”って気づいていないだけでたくさんあると思うんです。そんなときにイヨシコーラが寄り添えたらと思います」

会社としても銭湯好きとしても今後も温浴施設とのつながりを大事にしていきたいと語る藤原さん。「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」後もさまざまな取り組みを続けていきたいとのこと。

イヨシコーラの湯は、過去のイベント時に体がより温まると客からの評判も高いのだそう。ジメジメとしてきた季節。大きな湯船で身も心も解放し、極上のコーラで湯上がりを特別なひとときにしてみてはどうだろうか。

取材・文=西連寺くらら

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