『虎に翼』道男の生きた、戦後少年犯罪の現実――朝ドラではとても描けないヒロポンまん延、殺人の世界

ヒロポンが田舎の子どもにまでまん延、覚醒剤中毒も

 なお、戦後日本を覆っていた最悪の経済状態は、昭和25年(1950年)、朝鮮戦争の勃発と共に大幅に改善されました。日本は新憲法で不戦をうたっていたので参戦はしなかったものの、アメリカの参戦を日本は「同盟国」として支えることになったので、軍事産業などを中心に経済が回り始めたのですが、金回りが良くなればなるほど、太平洋戦争に敗戦した後から続く社会不安は逆に悪化したという興味深い調査もあります。

 要するに、道徳が荒廃した社会にお金だけが流れ込むと、なにも良いことは起きないということですね。

 昭和26年(1951年)には「ヒロポン」と呼ばれ、気軽に市販されていた覚醒剤が、都市部だけでなく田舎の少年たちの間でもまん延し、少年犯罪のうちの1割が、覚醒剤中毒の子どもの手によるものになってしまったそうです。なかなか衝撃的な数値ですね。

 「朝ドラ」ではとても描けないような社会不安が、戦後日本には蔓延していたのです。戦争の恐ろしさは、なにも戦時中だけの問題ではないのだな……と痛感してしまいました。

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サイゾーウーマン
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料理や収納など暮らしに関する情報や、芸能、海外ゴシップの最新ニュースを連日発信中。ほかにも、皇室や女子刑務所のウラ話、万引きGメンの現場レポなど、個性豊かなコラムも展開。ほかとは異なる切り口で、女性の好奇心を刺激する記事をお届けします。
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