社会との摩擦、その「障壁」とともに生きていく――。食欲旺盛な「うさばに」は生えている食べ物を食べ尽くしては、土地を転々としていた。増殖して森を征服しようとしていた「ニンジンの森」にうさばにたちがやってくる。共生するうえで起こりうる問題をわかりやすく描いたメガネ学専攻(@8_senkou)さんの創作漫画「うさばに」を紹介するとともにインタビューを行った。
急激に増殖するニンジンたちは、森を侵略しようとしていた。その森にやってきたうさばにたちは、森に生えているニンジンを食べ尽くしてしまう。食べるものがなくなると森を移動するので、どんどんニンジンが減っていった。森を守りたい「わた毛」たちは、うさばにたちを利用し、増殖するニンジンを止めようとしていたのだ。「ただ好きなものをおなかいっぱい食べていたい」だけのうさばにたちと、森の生態系を守りたいわた毛たちの葛藤を描く。
――本作を描いたきっかけがあれば教えてください。
自宅で飼っているペットが目を離した隙に、「棚に隠しておいたご褒美用おやつの大袋を家族のベッドの上まで運びこんで、むしゃむしゃ貪り食っていた!」という事件がありました。その姿に家族みんなで思わず爆笑してしまったのですが、同時に「食」に対して一生懸命なところに胸を打たれて、とんでもなく食いしん坊なキャラクターを描いたらおもしろいんじゃないかと思ったんです。
――本作のテーマはなんですか?
うさばににとっての「食いしん坊」、オッチャンにとっての「動けない身体」といった各々の特性により発生する社会との摩擦、その「障壁」とともに生きていくということについて描きました。
――メガネ学専攻さんが、制作するうえでこだわったポイントを教えてください。
特にうさばにたちの表情やポーズにこだわりました。序盤では、うさばにたちが自由にころころ跳ね回るかわいい姿を、後半では読者の方々に共感していただけるような、正直かつ切実な姿を見せられるよう、納得できるまで何度も描き直しました。
――絵本のようなかわいいテイストで「森やうさぎ」といったとっつきやすい場所やキャラクターにした理由があれば教えてください。
今回のテーマであれば、もっとリアルな設定・リアルな描写でシリアスな漫画を描くこともできました。ですが、あえてフィクション感の強い作風にすることで元気なときも疲れているときも、誰でも気軽に読めて、少し笑顔になれるような漫画に仕上げたいという想いがありました。 ただ同時に、私たちの生活と地続きの内容であることも少し意識してもらえたらという想いで、時々リアルな描写をはさんでいます。
――今後はどのような漫画を制作したいですか?
現在は学校もののファンタジー漫画を制作しています。 うさばにたちが登場する作品もいろいろと構想しており、新作をお見せできる日がとっても楽しみです。今後は雑誌への投稿やイラストのお仕事にも挑戦していきたいです。
本作には「ただのかわいい話かと思ったら、考えさせられました」「共存とは、互いを理解することからですよね」などのコメントが届く。
■取材協力:メガネ学専攻(@8_senkou)
配信: Walkerplus
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