システムエンジニアの仕事は、ソフトウェア開発。テストを繰り返してはエラーを修正。連日残業や徹夜、休日出勤も多く、タイトな納期への精神的プレッシャーも大きい。クライアントからの要望に応えつつ開発を繰り返していた47歳のSE。しかし、会社からの総合的な評価は低く「今期ボーナスはなし」と言われ、転職を決意した。退職までの100日間を描いたTOME(@tome_ura)さんの「100日後に退職した47歳」を紹介するとともに作者に話を聞いた。
■トラブル対応や納期へのプレッシャーは大きく、いつもエラーに追われている
47歳のシステムエンジニアTOMEさんは、ネットサービスの会社でソフトウェア開発を担当していた。作業を進めてテストをし問題点をクリアして、再びテスト。その繰り返し。問題は山積みだが納期は決まっている。そのため連日の残業、時には徹夜、休日出勤も多かった。
漫画を描き始めたきっかけは「自作アプリを開発するより、会社であったいろいろなことを漫画にしたほうが、とペンを取った」のが始まり。「『100日後に退職する47歳』というタイトルで上げた日に、いきなり拡散していただいて驚きました。ですので、2日目以降の内容はそれから考えました(笑)」と、Xで拡散されたことが大きな転機となった。
「漫画を上げ始めた当時は会社に不満はありましたが、年齢的なこともあって転職は若いときよりも難しいだろうなと感じていました。なので、当時は『すぐには辞めないけど、いい転職先が見つかったら考えてもいいかな』くらいに考えていました。しかし、漫画を描き続けていくにつれ、現実の気持ちが漫画にリンクしたのかどうかはわかりませんが、だんだんと本当に退職する方向に気持ちが流れて転職活動も始めてしまいました。結局、気がついたら、漫画の70日目くらいを描いているころ実際に退職。漫画を描くことに少し会社への罪悪感があり、居づらくなったのかも知れませんね…。今は、知り合いの紹介で入社した某スタートアップ企業でソフトウェア開発をしています」
47歳で転職。決め手になったことは「理由は1つではないのですが、職場との相性の悪さがあったのかなと思います。自分はどちらかというと物静かなほうだと思うのですが、職場は少し体育会系というか、根性で問題を解決する、みたいな雰囲気があった気がします。あとは漫画にも描きましたが、会社に評価されていないのではと感じてしまったことも大きいです」(TOMEさん)。
退職にあたり必要なことは?と聞くと「ソフトウェア業界は、新しい技術がどんどん生まれてくるので、それを常に吸収し続けていかないと勝負できないなと感じました。自分も年齢のせいかついていけてない部分もあるのですが、今も頑張っています。最近は、AI関連の技術がすごい勢いで発展しているので、置いて行かれないようにしようと思います。あと、競技プログラミングでスキルを磨いておくとよいと思いました。理由は漫画を読んでいただければわかります(笑)」
転職を決めてから退職までの100日間を漫画にしたTOMEさん。2021年にWebで連載をスタートし、100日間更新をし続けた。フォロワー400人から始まった連載も、最終話には6万人を超えるほど人気に。アプリのリリースに伴うトラブル対応や身も心もボロボロになっていく姿がリアルで、同業者から応援の声も届いた。そして、漫画はついにドラマ化。Amazonプライムで独占配信された。
■取材協力:元アプリ開発者47歳(@tome_ura)
配信: Walkerplus
関連記事: