夫を亡くして1年。90歳の「ひとり老後」でも毎日が楽しい!

「人生100年時代」という言葉に、希望より不安に思う人は多いでしょう。長生きしたとしても、元気で楽しく暮らしていけるのか…。そんな不安を払拭するには、ひとり老後を楽しく幸せに過ごしている大先輩のライフスタイルが参考になるかもしれません。

沖縄本島最北端の国頭村に住む大田吉子さんは、現在90歳。孫の浩之さんが撮影したTikTokやYouTube動画が評判になり、「南の島のおばー」として全国的にも有名です。

吉子さんは1年前に夫を亡くし、現在はひとり暮らし。22歳でお見合い結婚をして以来、仲良く連れ添ってきた夫に先立たれた当初はずいぶん落ち込んだそう。

けれども、いまは「お金はないし、夫はもういないけど毎日がたまらなく楽しい」といいます。90歳でひとり暮らしというと、自宅にこもりがちな生活を想像しますが、吉子さんはまったく違います。1日をどう過ごしているのか、簡単に紹介しましょう。

■健康の秘訣は80年以上続けているラジオ体操
朝は5時に起き、6時30分から始まるNHKのラジオ体操(テレビ体操)をしっかり第2までやって体を動かします。これは小学生の頃から80年以上も続けている習慣だそう。朝食は7時半頃。納豆とお茶椀1/3ほどのご飯と、昨晩の残りの炒め物が定番。食事は自炊で、たっぷりの野菜と卵、肉などを炒めた「チャンプルー」を作り置きして少しずつ食べます。

朝食後は近所の朝市まで1.5kmほど歩いて行き、顔なじみの村人とおしゃべり。自宅に戻って庭の草取りや畑仕事をし、午後3時頃から再び外出。五男が営んでいる飲食店で手伝いがてら近所の人とおしゃべりをし、17時頃に帰宅。夕食、お風呂を終えた後、20時半には沖縄民謡を聴きながら就寝します。

元気で健康で、毎日やることがあり、出かける場所があり、楽しくおしゃべりできる親しいご近所仲間がいる。だから吉子さんは、さみしくないのです。

■「私でよければ」でなんでも楽しく生きてきた

吉子さんの座右の銘は「私でよければなんでもやるよ」。若い頃から、人から「やってみないか」と言われたことは絶対に断らず、なんでも引き受けてきました。アメリカ兵の子どものベビーシッター、修学旅行生を引き受ける民泊、村の婦人会や老人会の運営、民生委員、ボランティア、テレビや映画出演まで、ありとあらゆることに挑戦してきました。

「人から『やってみないか』と言われたことは、どれもやってみると不思議ととても楽しい。『私でよければなんでもやるよ』は、いつでも私を新しい世界に連れて行ってくれる魔法の言葉です」と吉子さんは言います。

人からの頼まれごとを引き受けることで、知らず知らずのうちに自分の世界が広がっていき、人とのつながりも深まっていく。人生を楽しく充実させる秘訣として、「私でよければなんでもやるよ」という姿勢を見習いたいですね。

文=城川佳子

【著者プロフィール】
大田吉子
1934年沖縄生まれ。沖縄本島最北端の国頭村で暮らす。22歳で結婚し、自営の鮮魚・精肉店や農業、畜産業、民泊など多くの仕事をこなしてきた。2023年に夫を亡くして以来ひとり暮らし。子どもは5人、孫10人、ひ孫14人。孫の浩之さんが撮影するTikTok「南の島のおばーと孫」が大人気に。SNSの総フォロワー数は50万人を超える。

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