多くのママが悩む赤ちゃんの後追い
赤ちゃんの成長過程で避けて通れないのが『後追い』です。そばを離れると、泣きながら後を追いかけてくるため「心配でトイレにも行けない!」というママは多いでしょう。
なぜ後追いするのでしょうか?後追いの理由と、時期についてまずは解説します。
後追いの理由とは
後追いとは、ハイハイができるようになった赤ちゃんが大人の後を追いかけてまわる行為を指します。
後追いの対象はママが圧倒的に多く、姿が見えなくなると、大泣きしたり、ベッドから転げ落ちたりするケースもあります。
後追いには「ママと離れるのが不安」という赤ちゃんの心理が関係しています。新生児は視力が弱く、身近な人と知らない人を区別する能力がほとんどありません。
しかし、成長とともに記憶力や認知力が培われていき、ママを特別な存在と認識できるようになります。
後追いはそのころに出現する行動のひとつで「ママと離れたくない」という気持ちの表れといえるでしょう。
後追い期はいつからいつまで?
後追いの時期は、つたい歩きやハイハイができるようになる生後8~9カ月ごろから始まります。早い子では生後6カ月ごろから始まる場合もあり、ハイハイが本格化する9~11カ月ごろに後追いのピークを迎えるようです。
後追いが落ち着いてくるのは1~2歳を過ぎたあたりからで、この時期になると「ママは自分から離れても戻ってくる」ということが徐々にわかるようになります。
後追いがいつまで続くかは、子どもの性格や家庭環境などに大きく左右されます。
「うちの子はいつまでも後追いをする」と不安になる人もいますが、歩ける年齢になると世界が一気に広がり、ママ以外のものにも興味を示すようになるでしょう。
パパ見知りも始まる時期
後追いとほぼ同じ時期に始まるのが『パパ見知り』です。文字通り、赤ちゃんがパパに対して人見知りする行為のことで「ママといるときは楽しそうなのに、パパにはなつかない」という時期が続きます。
パパ見知りが始まるのは、赤ちゃんの記憶力や認知力が育ちはじめる生後5~6カ月ごろからです。
同じ家族でも接する時間が短ければ人見知りの対象になるため、日中家を空けることが多いパパやたまにしか来ない祖父母は要注意といえるでしょう。
パパ見知りは、決してパパが嫌いなわけではありません。後追い同様、成長におけるプロセスのひとつなので、温かい目で見守りたいものです。
赤ちゃんのケガに気を付けよう
後追いでママを悩ませるのが赤ちゃんのケガです。赤ちゃんは危険を察知する能力が低いうえ、自分で自分の身を守る術を知りません。
ママを追いかけようとしてベッドから転落したり、階段から転げ落ちたりすれば、大けがのおそれがあるでしょう。後ろに子どもがいるのに気付かず、ママが思いっきりドアをしめてしまうケースも少なくありません。
後追いが始まったら、真っ先に赤ちゃんの安全を確保しましょう。危険な場所にはベビーゲートを取り付け、鋭利なテーブルの角にはコーナーガードを装着します。お風呂には水を溜めないように注意しましょう。
後追いしない赤ちゃんもいる?
「後追いは泣いて追いかけてくるもの」と決めつける必要はありません。後追いには個人差があり、泣かずに目だけでママを追う赤ちゃんや、後追いをしない赤ちゃんもいます。
その子によって度合は異なる
後追いは、全ての赤ちゃんに共通する行動ではありません。ママ友たちが、後追いの苦労を話しているとき「自分の子どもは後追いをしない」と不安を覚える人もいるかもしれませんが、後追いをしない赤ちゃんもいることがわかっています。
後追いの度合いにも個人差があり、大泣きをして付いてくる赤ちゃんもいれば、控えめに後追いをする子もいるようです。
後追いには、生まれ持った性格的な要素や周囲の環境が強く影響します。人見知りしない性格だったり、生まれたときから兄弟姉妹に囲まれたりしていれば、必ずしもママを追いかけるとは限らないでしょう。
泣かない後追いもある
赤ちゃんの後追いには様々なパターンがあります。「ママ!」と泣きながら付いて来る子もいますが、なかには『泣かない後追い』もあります。
「我が子に後追いがない」と感じる人は、子どもの様子を1日中じっくりと観察してみましょう。声には出さないものの、不安そうにママを目で追っている場面があるはずです。
赤ちゃんの心は「ママが離れるのが不安」という気持ちでいっぱいなので、そばを離れるときは「すぐ戻ってくるよ」と声をかけて安心させるのがよいでしょう。
『泣かない=後追いがない』と決めつけて、長時間そばを離れるのは好ましくありません。
後追いは2歳になっても続く?
子どもの成長には個人差があるとわかっていても、後追い期間が長すぎるのはやはり心配になるものです。後追いが長すぎるときはどう対処すればよいのでしょうか?
知らないことばかりで分離不安に
後追いは1歳半ごろまでに徐々に消失していきます。2歳を過ぎても自分のそばを離れたがらない子どもは『分離不安』に陥っている可能性があります。
分離不安は愛着のある人や物から離れることに強い不安を抱く症状で、主に2~3歳の子どもに見られます。周囲に見知らぬ人・見知らぬ物ばかりなので、心が不安になってしまうのです。
『もっとも身近で安心感のある存在』にくっつくことで、心の安定性を保っているともいえるでしょう。
3歳以降も続くときは注意が必要な場合も
分離不安は多くの子どもに見られる症状で、3歳までに消失するケースがほとんどです。
もし、3歳以降も不安な状態が続くときは、分離不安が長期化する可能性が高いでしょう。分離不安が強まると腹痛・頭痛・吐き気などの身体的症状が現れ始めるケースもあります。
「先生や友だちが怖い」と言って幼稚園に行くのを渋り、そのまま登校できなくなるケースもあるようです。
大切なのは、成長の過程で起こる一過性の分離不安と、長期的な分離不安症を見分けることです。分離不安が長期化する兆しがある場合は、専門家に早めに相談しましょう。
どう対処すればよいの?
多くの先輩ママは、赤ちゃんの後追いにどう対処しているのでしょうか?気持ちを切り替えて、赤ちゃんの後追いにとことん付き合うのもひとつの方法です。
声をかけてから離れる
赤ちゃんは「ママが消えていなくなってしまうのではないか」という不安に駆られているため「すぐに戻ってくるよ」という事実をわからせてあげると安心します。
後追いがひどい赤ちゃんには積極的に『声掛け』を行いましょう。「トイレに行くからね」「ちょっと待ってね」と言葉で説明し、戻ってきた後は「ちゃんと待ててえらいね」と褒めてあげるのです。
どうせ言葉をかけてもわからないからといって、黙って立ち去るママの態度は赤ちゃんの不安を増幅させます。
貴重な時期だと思ってとことん付き合う
赤ちゃんのお世話をしているとストレスが溜まり、我が子をかわいいと思えなくなる瞬間もあるはずです。そんなときは「後追いも大泣きも今だけ」と割り切り、とことん付き合ってあげましょう。
子どもの成長はあっという間で、大変な思いをしたママも「赤ちゃんのころはかわいかった」と過ぎた日を思い出すものです。
思う存分後追いさせるのもよいですし、出来る限りそばにいてあげるのもよいでしょう。トイレに行くときはトイレのドアを開けっぱなしにするというママもいます。
愛情を求める赤ちゃんの要求にしっかりと応えてあげることで、後追いは徐々になくなっていくでしょう。
後追いする赤ちゃんへの工夫
赤ちゃんの後追いが激しいと、料理やお掃除などの家事全般ができなくなります。赤ちゃんの興味を引き、後追いを一時的に抑えるアイデアを紹介します。
ベビーサークルで遊ばせる
赤ちゃんがハイハイやつかまり立ちができるようになったら、『ベビーサークル』が役立ちます。ベビーサークルは赤ちゃんを危険なものや危険な場所から遠ざける役目があるほか、伝い歩きの練習台にもなります。
ベビーサークルのなかに大量のボールを入れて『ボールプール』にすると、楽しく1人遊びができるでしょう。
メロディーボックスやミラー、受話器などが搭載された『おもちゃ付きのベビーサークル』は赤ちゃんが飽きずに遊べるのでママも大助かりです。
乗車時にはベビーミラーで安心させる
1~2歳の赤ちゃんはお出かけの際、車に乗るのを嫌がったり、車での移動中に突然泣き出したりする場合があります。
チャイルドシートを車の後席に設置している場合、赤ちゃんはママの姿が見えません。「車にはママやパパが乗っているよ」とわからせてあげるために、ベビーミラーを設置しましょう。
ベビーミラーは軽量で割れにくいアクリル製や樹脂製を選ぶのがベストです。ミラーの周りにおもちゃが付いているタイプは赤ちゃんがご機嫌になるため、安心して運転ができるでしょう。
イライラしない乗り越え方
子育てにイライラはつきものですが、後追いが激しくなる時期は、ママのストレスがピークに達します。1人で抱え込まずに、後追い期間を上手に乗り越える方法を考えてみましょう。
泣いてしまってものんびり対応
泣いて欲しくないときに泣かれたり、泣き止まなかったりすると「いい加減にして!」という気持ちになります。
多くのママは、赤ちゃんが泣くと「何とかしなくては」と焦りますが、そんなときは大きく深呼吸して「泣いてものんびり対応しよう」と自分に言い聞かせましょう。
後追いで泣くのはママが離れる不安からきているもので、ケガや体の不調などの緊急を要するものではありません。
トイレに入りたいときは、危険がないことを確かめ、しばらく外で泣かせておくのも仕方がないでしょう。
家事は無理せず周囲のサポートに頼る
赤ちゃんをおんぶすればある程度の家事はできますが、おんぶをしているとできない作業も多いものです。子育てと家事を1人でこなそうとすると心身ともにダウンしてしまうため、家族にサポートを求めましょう。
休日はパパ、平日はおじいちゃんやおばあちゃんにヘルプをお願いすれば、負担がグッと軽減されます。
パパと一緒に子育てを分担すれば『パパ見知り』も改善される可能性が高いでしょう。
孤立し、ストレスを発散する場を失わないようにするのが大切です。
まとめ
どこにでも付いて来る我が子を見て「かわいい」と思うのはつかの間、大きな声で泣かれたり、家事を邪魔されたりして「どうすればいいの?」と困惑するママも多いはずです。
後追いはママの頭を悩ませる半面、成長の証でもあります。「大変なのも今だけ」と割り切って、楽しく過ごせる工夫を考えましょう。
大変なときは、パートナーや家族にサポートを求めるのが賢明です。