天然歯と同様の機能と審美性を持っている入れ歯として、インプラントは魅力があります。近年ではインプラント技術も向上して、多くの方が治療を受けています。そこで今回は、インプラントの構造について解説します。
インプラントの構造
インプラントの構造は上部構造と呼ばれる人工歯と、フィクスチャーと呼ばれるインプラント体、そして、この2つを接続するアパットメントの3つのパーツから構成されています。インプラント体となるフィクスチャーは、顎の骨に埋め込むパーツで人工歯根とも呼ばれています。インプラントの根元の役目を担う部分で、顎の骨と融合しやすいチタン製で作られています。大きさは直径約4mm、長さが約10mmで、生体親和性が非常に優れており、金属アレルギーの方もインプラント治療を受けることが可能です。
本体の人工歯となる上部構造とは
次に上部構造ですが、ここが入れ歯の本体の人工歯となります。当院ではかつては人工ダイヤと言われたジルコニアがメインとなっており、オールセラミックという100%セラミックのもの、内側に金属の裏打ちが施された、メタルボンドといったセラミックや金属で作られるものも症例によっては使用します。歯の色も自由になるので、隣り合う歯とおなじ色を作ることも可能です。
フィクスチャーと上部構造を接合するアバットメントとは
3つ目のアバットメントは上部構造が埋め込まれるパーツで、フィクスチャーと上部構造を接合する役目を担っています。素材については一般的にチタンやチタン合金が使われますが、審美性を重視したセラミック製も選べます。インプラントの種類は、世界中で100種類を超えるインプラントシステムが製造されていて、各メーカーは新たなインプラントシステムの研究を積み重ね、優れた製品を世の中に提供しています。
インプラント治療に最も重要なフィクスチャーとは
そんなインプラントシステムですが、インプラント治療に最も重要となるフィクスチャーには、一般的に4種類あるといわれています。1つ目はスクリュータイプで、フィクスチャー本体がネジのような形状をしていることから、スクリュータイプと呼ばれています。顎の骨に埋め込む穴が小さくて済むので身体への負担が軽く、噛む力を効率よく上部構造へ伝えることができます。スクリュータイプには2種類のタイプがあり、先が細くなっているルートタイプ、太さが同じストレートタイプがあります。ルートタイプは歯根の近接した部位などにも有効であり、ストレートタイプは骨の圧迫が起こりにくいという特徴が挙げられます。インプラント治療を開始する際にはクリニックがご用意するインプラントの中から選ぶことができ、どれにするか迷わなくて済みますのでご安心ください。
この記事を監修してくれたお医者さん
日本歯科医師協会認定医
越智英行
略 歴
昭和大学 歯学部 卒業/昭和大学大学院 歯学研究科 臨床系歯科麻酔科学 修了/昭和大学 歯学部 全身管理歯科学歯科麻酔科 助教/医療法人社団コンパス 常務理事
保有資格
歯科医師/歯学博士/日本口腔外科学会 認定医/日本外傷歯学学会 認定医
配信: 医科歯科健診コラム
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