インプラントの技法
インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込んで、その上に人工歯を取り付ける技法です。ただ従来の入れ歯とは違い天然歯とほぼ同じ歯となるので、審美性に優れていて一般的な入れ歯のような違和感もありません。優秀な入れ歯となるインプラントを装着するのであれば、インプラント治療の術前検査を受ける必要があります。
術前検査
全身疾患の確認
インプラント治療を失敗させないコツは、さまざまな角度から丁寧に診察して、適切な治療計画を作成することがポイントです。そのためには術前検査として、まずは全身疾患の確認を行います。
全身疾患とは、高血圧・脳血管・心身症・糖尿病・甲状腺・血漿板の異常などの疾患のことで、一見するとインプラントとは関係ないように見えます。ところがこれらの全身疾患はインプラントと大きな関わりがあり、例えば免疫力の低下が見られる場合は歯周病を起こしやすく、インプラントと顎の骨との接着の強度が弱まってグラついてしまいます。また血液をサラサラにする薬を処方されていると、インプラント治療時の出血が止まりにくくなってしまいます。このように全身疾患があると投薬などによってインプラント治療に影響が出てくるので、しっかり把握する必要があるのです。多くは患者様からのヒアリングと、血液検査で把握します。
禁煙と顎の骨の骨重の重要性
さらに喫煙をしている方なら、禁煙が必須とは言えませんが、ヘビースモーカーの方のインプラント治療は控えられることをおすすめします。また、インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込むために、顎の骨の骨重があることが重要です。骨重とは骨の密度が高く固くしまっている骨が十分な量であるかを意味しています。顎の骨が薄いと人工歯根をしっかり埋め込むことができないので、骨造成手術を施す必要があります。
骨造成手術と3次元的な口腔内検査
骨造成手術とは、骨重が足りないところに口の中の他の部分の骨を採取して足したり、骨に置き換わる薬剤を使用して骨を人工的に作ったりする施術です。人工歯根をしっかり埋め込む土台を確保しないと、インプラント治療は成功しません。インプラント治療の術前検査では、口腔内検査を3次元的に行います。インプラントを実際に埋め込む顎の骨の厚みや高さを検査したり、歯や歯茎の状態を確認したりします。虫歯や歯周病がある場合は、口腔内が細菌感染しやすい状況にあるために、まずは虫歯や歯周病の治療を行った上で、インプラント治療を開始します。
配信: 医科歯科健診コラム