【マンガで学ぶ相続手続き】不動産の相続手続きは必須!義務化された「相続登記」について相続の専門家が詳しく解説

【マンガで学ぶ相続手続き】不動産の相続手続きは必須!義務化された「相続登記」について相続の専門家が詳しく解説

こんにちは。G1行政書士法人 代表の嶋田裕志です。相続・遺言専門の行政書士として10年以上、年間1000件を超えるご相談にお応えし、行政書士の範囲だけでなく、相続税や不動産など相続に関する幅広い知識をもって各専門家とともに相続手続きを代行しています。

突然ですが、皆さんは、身内の方を亡くされた経験はありますか?

亡くなった人が近しい関係であればあるほど、皆さんは「当事者」として死亡後の手続きに関わることになります。具体的には、その亡くなった瞬間から、通夜、葬儀、役所での手続きなど、とにかく時間に追われながらたくさんの手続きをしなければなりません。

悲しくて、寂しくて、つらくて、耐えがたい状況であっても、手続きは待ってくれません。特に死亡後すぐの手続きには期限があるものも多く、慣れない手続きで心身共に疲れてしまい、体調を崩してしまうという方もたくさんおられます。

ここでは、いざ皆さんが「当事者」になったときに困らず相続手続きができるよう、詳しく解説いたします。

今回は、相続における不動産の名義変更、いわゆる「相続登記」についてお話しします。

不動産は、不動産登記制度のもと、土地や建物の所在や面積、所有者の氏名や住所などが公の帳簿(「登記簿」といいます)に記載されています。そして、この登記簿に情報を掲載することを「登記」といい、法務局がそれを管理しています。

もし、不動産の所有者が亡くなった場合は、その相続人が登記をして、新たな所有者の氏名や住所を登記簿に記載しなければなりません。これを「相続登記」といいます。

どうしても日常生活で触れる機会が少ないために忘れがちな手続きですが、相続登記をせずに放置すると、のちのちの手続きが面倒になる可能性が高いため、早めに手続きをするようにしましょう。また、昨今の空き家問題の解決策として、2024年4月1日から相続登記は義務化されましたので、手続きは必須です。

ここでは、相続登記の概要と手続き内容についてお伝えします。

■相続登記とは?
相続登記とは「相続による所有権移転登記」の略称で、土地や建物の所有者が亡くなったあと、その土地や建物の名義を、亡くなった人から遺産を引き継いだ人(相続人等)へ変更する手続きのことです。

固定資産税の納付書は役所から届くため、名義変更の手続きは役所でするものと思っている方も多いのですが、相続登記の手続き先は法務局です。固定資産税は役所、不動産の登記は法務局、と管轄が違いますので、間違えないようにしましょう。

法務局は全国にあり、法務局ごとに管轄の地域が決まっているため、名義変更の際はその不動産の所在地を管轄する法務局に申請しなければなりません。たとえば、東京の法務局で大阪の不動産の手続きはできないということです。

相続登記をする際に必要な書類は相続関係などにより異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

亡くなった人の
・出生から死亡までのすべての戸籍
・住民票の除票(または戸籍の附票)

相続人全員の
・戸籍謄本
・印鑑証明書

不動産を相続する人の
・住民票(または戸籍の附票)

その他
・所有権移転登記申請書
・固定資産評価証明(または納税通知書、名寄帳)
・遺産分割協議書

慣れない手続きですので代行をご希望される場合、不動産の登記手続きの専門家は司法書士になります。もちろん自分で手続きをすることも可能ですので、その場合は管轄の法務局に相談の予約をしてから訪ねてみましょう。

■登記簿謄本とは?
登記簿謄本の正式名称は「登記事項証明書」といいます。法務局に記録されている登記情報を証明した書面で、土地建物ひとつひとつにおいて存在し、それを見れば不動産の所在地や面積はもちろん、所有者やその所有者の住所までわかります。
※なお、住所は登記された時点での住所であるため、引っ越し等による変更が反映されていない場合もあります。

この登記簿謄本は、相続登記に必須の書類ではありません。しかし、現時点でその不動産の名義人が誰かを確認するために、相続登記の準備を始める前に一度取得しておくことをおすすめします。

一般的に「不動産」というと土地と建物がセットのように思われがちですが、それぞれ別々の登記事項証明書があり、所有者もそれぞれ登記されています。たとえば借地(借りている土地)の上に家を建てた場合や、父名義の土地に子どもが自分の名義の家を建てた場合などは、土地と建物の所有者が異なっています。

また登記情報は一般に公開されていますので、法務局で申請すれば誰でも取得することができます。全国どこの法務局でも取得可能なので、たとえば、東京の法務局で大阪の不動産の登記事項証明書も取得できます。

登記簿謄本は、法務局の窓口にて、備え付けの申請用紙に記入し、1通につき600円の手数料(収入印紙)を払えば、その場で取得することができます。事前に用意すべきものはなく、オンラインでの取得も可能です。

なお、登記簿謄本を取得する際は、不動産の住所を「地番」で指定しなければいけません。

地番とは、土地の場所や権利の範囲を示す登記上の番号で、住所と地番は異なる場合が多いです。不動産の地番がわからない場合は、対象の不動産を管轄する法務局に問い合わせて住所を伝えることで、その地番を教えてもらうことができます。

ここまで、不動産の相続手続き(相続登記)についてご説明してきました。

相続登記をするためには、たくさんの必要書類をそろえることはもちろん、相続人全員で遺産分割協議をして、不動産を誰の名義にするのかを決める必要があります。話し合いがうまく進まずなかなか合意にいたらない場合は、相続登記が完了するまで数カ月かかってしまうこともあるでしょう。

次回は、その間の「固定資産税」はどうなるのか?を中心にお話しします。

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