週3程度の頻度で配達に行くお宅には「ペルちゃん」という飼い犬がいた。飼い主以外には決して懐かないペルちゃんが、ある夜静かに抱っこされた…その理由は?犬との温かいエピソードを描くゆきたこーすけ(@kosukeyukita)さんの「運び屋ゆきたの漫画な日常」からほっこりするエピソード「かみつきペルちゃん」を紹介するとともに話を聞いた。
■ある夜、人に懐かない「ペルちゃん」が道を歩いているところに出くわして?
ゆきたさんが週3程度の頻繁に配達に行くお宅には「ペルちゃん」という飼い犬がいた。足繁く通っているのに何回行っても懐いてくれず、ゆきたさんが撫でようとすると「ガブリ」と噛まれてしまう。犬が大好きなゆきたさんは「触ろうとして、何回か噛まれておりました。噛まれると言っても本当に怪我をするような噛み方はしなくて、そのあたりはペルちゃんも心得ていたのかもしれません」と話す。
ある夜、ペルちゃん宅の近くをトラックで走行中、ゆきたさんの前に突然ペルちゃんが現れた。「ペルちゃん…!一人で何やってんだっ!」と、ゆきたさんがトラックから降りてペルちゃんに駆け寄ると、どうしたことか。いつもはゆきたさんが近づくと噛みついてくるのにペルちゃんはおとなしく、よく見るととても不安そうな顔をしていた。
ゆきたさんがそっと首輪を掴んで引き寄せると、ペルちゃんは暴れることなくゆきたさんに抱っこされた。そのままペルちゃんを飼い主のお宅へ。「宅配便でーす」と言って、ペルちゃんを無事にお届けした。この出来事は、噛みつきペルちゃんが心を開いてくれた瞬間だった。いつものように噛みついてこなかったペルちゃんに「怖かったんだな」「もう大丈夫だからな」と、優しく声をかけるゆきたさん。「ペルちゃんは、わりとナイーブな子なんだと思います。飼い主さんと一緒のときは気が大きくなるというのはあると思うし、不安だったのだと思います」と、ゆきたさんは当時を振り返る。
配達員が犬に噛まれることは、「よくあるわけではないですが、たまにあるかと思います。お宅によってはわんこの前を通らないと玄関に行けないようなお宅もあるし、『お庭に放されていたわんこに噛まれた』という話をたまに聞くこともあります。あと僕もそうですが、犬好きな配達員が触ろうとして噛まれた、ということは多いと思います」(ゆきたさん)。
その日を境に絆は深まったと思えた。後日の配達で、ペルちゃんに声をかけると…?まさか、いつものように「ガブリ」と噛まれてしまった。「僕はペルちゃんと仲良くなれたのかな、と思っていたのですが、特にそんなことなかったんですよね。そのあとも何度も配達にお伺いしたのですが、まともに触れたのはあの夜だけでした。でもそこがペルちゃんらしいような気がします」(ゆきたさん)。
ペルちゃんが心を許したのは、あの瞬間だけだった。コメント欄には「目頭が熱くなった」「感動」「涙出そうになりました。それなのにオチで吹き出しました」など感動だけでなく、まさかのオチに笑いの声も寄せられた。
取材協力:ゆきたこーすけ(@kosukeyukita)
配信: Walkerplus
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