ヒロインを演じる伊藤沙莉(C)GettyImages
歴史エッセイスト・堀江宏樹氏が今期のNHK朝のテレビ小説『虎に翼』を歴史的に解説します。
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松山ケンイチさん演じる桂場等一郎のモデルは実在する
今週の放送で、岡田将生さん演じる新キャラ・星航一が登場したことで、てっきり寅子は松山ケンイチさん演じる桂場等一郎と再婚するものだと思いこんでいた筆者は多いに驚きました。手元に史料はあるのですが、ドラマをより楽しむべく、何か「事件」が起きてから歴史的背景を知るようにしているもので……。
それで今回、寅子の再婚相手はドラマの誰かをあらためて調査してみたのですが、残念ながら松山さん演じる桂場ではなく、岡田さん演じる星航一こそが、寅子の二人目の運命のお相手になるという結論に達しました。
まずは、筆者の周辺でもファンが増加中だった桂場等一郎のモデルが誰かについてお話することにしましょう。桂場が寅子の再婚相手候補から外れたことで、彼のモデルは実在するエリート裁判官・石田和外(いしだかずと)さんであることは、ほぼ確定でしょう。
ドラマでは寅子が明律大の学生だった時代から何かと関係がある桂場ですが、残念ながらあの描写はすべてフィクションというか、ドラマ・オリジナルで、史実では寅子のモデルである三淵嘉子さんと石田さんが濃密に関わったのは、戦後すぐの昭和22年(1947年)3月のことでした。
弁護士から裁判官にジョブチェンジを試みた三淵さんが霞が関にある司法省(当時)に単身突撃し、人事課に「裁判官採用願」を出した時だけのようですね。その当時、司法省の人事課長だったのが石田さんです。
配信: サイゾーウーマン