寅子の再婚相手は、星航一だと確定したも同然
難しいことは置いておいても、ドラマ同様に非行少年たちの更生に携わり、「愛の裁判所」こと家庭裁判所での仕事で有名になった三淵嘉子さんと石田和外さんは、根本的に違うタイプの裁判官であったことはいえると思いますね。ドラマはフィクションですが、そういう石田さんをモデルにした桂場等一郎は寅子の再婚相手にはなりえない気がするのです。
その一方で、先週登場したばかりの岡田将生さん演じる星航一も、真意が読みづらい「なるほど」が口癖で、クセ強めの人物ではあります。しかし、史実でも三淵嘉子さんと、その再婚相手になった三淵乾太郎さんは、ドラマ同様に乾太郎さんの父上である三淵忠彦さんを通じて知り合っているんですね。
時期的には昭和23年(1948年)ごろ、三淵嘉子さんの働きに注目していた忠彦さんが「私の民法に関する著作の改定作業を、息子の忠彦といっしょに手伝ってほしい」と持ちかけたという経緯もドラマに描かれたとおりのようです。
そして、その本でもドラマ同様に「補筆」として表紙に二人の名前が載せられたので、寅子の再婚相手は星航一だと確定したも同然ではないでしょうか。
50歳と41歳、お互いに子連れでの再婚
また、史実では昭和25年(50年)5月から、嘉子さんはアメリカの家庭裁判所を視察する目的で日本をしばらく離れていたのですが、その期間中に三淵忠彦さんが亡くなっています。帰国後の嘉子さんは小田原にあった三淵家を訪ね、乾太郎さんと再会し、忠彦さんの未亡人で、乾太郎さんにとっては義母にあたる静さんからも気に入られた……という経緯もありました。
しかし、昭和27年(52年)12月に嘉子さんが名古屋地方裁判所に異動し、そこで裁判官をすることになったので、東京の乾太郎さんとは遠距離恋愛になったようです。乾太郎さんはしばしば名古屋を訪れ、ある時は嘉子さんの息子の芳武さん(ドラマでは娘の優未)を連れて、動物園に行ったこともあったそう。
まぁこの時、史料に名前の記載がなかったものの、とある男性も動物園デートに同行していたそうなので、二人の関係は今日から見れば驚くほどゆっくりしたペースで深まっていったのではないかと推察されます。
そんな二人が再婚に踏み切ったのは、昭和31年(56年)8月のことでした。この年の5月に嘉子さんが名古屋から東京地方裁判所に異動したことがきっかけでしたが、乾太郎さん50歳、嘉子さん41歳での、お互いに子連れの再婚でした。
嘉子さんの言葉をまとめると、この再婚によって「断崖の端に立っているような緊張した私の心」に余裕が生まれるきっかけとなったし、再婚するとは思っていなかったので「大事な拾い物」と感じられたのだとか。
ドラマの寅子はあいかわらず若々しいですが、昭和中期の40~50代といえば、なかなかの「成熟世代」ですからね……(ちなみに『サザエさん』の磯野フネは諸説ありますが50歳、波平が54歳という設定)。
今後、どのようにドラマが寅子と航一を描いていくのか、もしくは桂場の反撃(?)があるのかどうかを含め、いろいろと楽しみになってきました。
配信: サイゾーウーマン
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