【離婚後不安定になる子ども】SOSを見逃さないための5カ条

【離婚後不安定になる子ども】SOSを見逃さないための5カ条

第3回 離婚したママが子どもにしてはいけないこと
「うちの子、しっかりしているの」「素直でね」。そんな風に、わが子を誇らしく思うママもいるでしょう。でも、ちょっと待って。それは、子どものSOSかもしれません。わが子の「声なき悲鳴」に気づくための5カ条を、公益社団法人「家庭問題情報センター」の相談員である山口美恵子さんに、聞きました。

●SOSを見つける5カ条

1.「良い子」を演じる子ども

幼い子どもは自己中心性が高い傾向があります。離婚によって家庭が壊れた場合、「自分が悪い子だから離婚した」と受け取るケースも少なくありません。そして、「自分が良い子になれば親は元通りになるかもしれない」と幻想を抱き、「「良い子」を演じる子どももいます。離婚後、子どもが極端に「良い子」になっていたら、「離婚はあなたのせいではないのよ」と、ていねいに説明してあげましょう。

2.「素直な子」は、感情抑圧への危険信号

山口さんによれば、高学歴なママほど絶対的な自信をもって、自分の価値観を子どもに押しつけがちになるようです。

「つらい表現かもしれませんが、『離婚』とは、パートナーと価値観の折り合いがつけられなかった結果です。親に反抗する子どもは、自我があるわけですから、まだよいのです。『素直な子』は、抑圧の感情すら我慢している可能性があります」

価値観を子どもに押しつけないようにするためにはどうすればいいでしょうか。まずは、子どもに、「どう思うか」と意見を聞くことです。子どもの考えを聞く行動を出発点として、物事を決定するとよいでしょう。


●ママを支えようとする子ども

3.「しっかりした子ども」が、不自然な成長へ

「結婚の失敗」を嘆きすぎていませんか。そうした場合、子どもはママを支えようと年齢不相応に大人びた行動を取ります。「頼りがいのある子ども」に、つい愚痴を話したり、悩みや相談を打ち明けているならば、長く続けることはやめましょう。

「子の親化」と、「親の子ども化」という逆転劇が起きているのです。子どもにとっては年相応ではない、不自然な成長です。こうしたゆがみが5年、10年の長期に及ぶ場合、子ども自身の内面のバランスが崩れるおそれがあります。

4.子どもの体調不良や非行行動はSOS
 
パパの不在に加え、家庭にいたママが働きに出る家庭も多いでしょう。その場合、子どもは2重の喪失体験をすることになります。結果、頭痛や腹痛、アトピーの悪化などの体調不良や登校を嫌がる素振りを見せるかもしれません。万引きといった非行行為に走る子どももいるでしょう。

離婚によって子どもは、家庭という安全基地を失います。これは子どもの混乱や不安、愛情への飢えといったSOSのサインとも言えます。頭ごなしに怒らず、子どもの気持ちを受け止めてあげることが必要です。

5.「わたしなんて…」という自己評価の低さ
 
離婚した家庭の子どもは、相対的に自己評価が低いと言われています。

「お母さんは、『貴方が大事なのよ』と、子どもに繰り返し、存在の大切さを伝えてあげてください。自己への肯定感は、子どもに自信をもたらしてくれます」

●つらい経験を乗り越えた子どもが得る強さ

山口さんによれば、離婚というつらい経験をしたとしても、正しい支援を受けて乗り越えた子どもは、困難や逆境を跳ね返す力(レジリエンス)が強く育つそう。不可欠なのは、愛情に満ちたママのサポートです。

シングルで子どもを育てるママは、本当に大変です。日々、走り続けることに無我夢中で、時間も余裕もないかもしれません。そんなとき、1分だけ立ち止まってください。お子さんをぎゅっと抱きしめて、「ママにとってあなたは、大切な存在よ」と伝えてあげてましょう。ママの愛情に守られた子どもは、安心して成長してゆくことができるはずです。

(取材・文/永井貴子)

●離婚したママが子どもにしてはいけないこと

最後に、子どもを気遣うママに読んでもらいたい記事を紹介します。

>> 【実録】元夫の悪口を子どもに話し続けた母親
>> 離婚したママが【子どもにしてはいけない】5つのこと

お話をうかがった人

山口 恵美子
公益社団法人「家庭問題情報センター」
公益社団法人 「家庭問題情報センター相談員」 家庭裁判所家事調停委員を経て現職。 臨床心理士、保育士の資格を生かし、家庭内の問 題の相談を受けている。
公益社団法人 「家庭問題情報センター相談員」 家庭裁判所家事調停委員を経て現職。 臨床心理士、保育士の資格を生かし、家庭内の問 題の相談を受けている。