荒天をもたらす低気圧の一種「寒冷渦」とは? 台風との違いや防災のポイントを紹介

寒冷渦で気をつけるべき災害

寒冷渦の接近で気をつけるべき災害や影響を以下にまとめています。

寒冷渦で激しい現象が発生する理由は、上空に寒気が入ることで大気の状態が不安定になるためです。

さらに寒冷渦中心の東~南東側は、地表付近の気温が上がりやすく、上空との気温差が大きくなるため、積乱雲が発達して災害が起こりやすくなります。東~南東側で地表付近の気温が上がりやすいのは、寒冷渦は反時計回りに回転しており、東~南東側では暖かい南寄りの風が吹くためです。

そのため、自分がいる場所が寒冷渦の東~南東側に位置している場合、災害リスクがより高くなる点に注意しなければなりません。

寒冷渦に備えるポイント

寒冷渦の怖いところは、いきなり発達して天気急変が起こるケースがあることです。

以下の画像は、暴風をもたらした2024年5月16日と、その1日前の2024年5月15日の天気図を並べたものです。


引用:気象庁「過去の天気図」

5月15日の9時の時点では日本海に低気圧はありません。しかし、翌日の9時には日本海に発達した寒冷渦が確認できます。

このように寒冷渦は台風のように少しずつ接近してくるのではなく、天気図上にいきなり現れ、天気が急変して荒天をもたらすこともあるため注意が必要です。

また、寒冷渦による荒天が予想される場合は、数日前から1日前までに気象情報やニュース、テレビなどで「上空に寒気が入って不安定」「天気の急変に要注意」「落雷やひょう、竜巻に注意」などアナウンスされます。

このような情報を見聞きした際には、落雷や竜巻、ひょうなどの激しい現象に備え、「どこに逃げるか」「どうやって身を守るか」など対策しておきましょう。

また、寒冷渦は常に雨が降るような一般的な低気圧とは異なり、短い時間の中で雨が降ったり晴れたりなど、天気が変わりやすい特徴もあります。晴れているからといって安心するのではなく、寒冷渦が去るまでは天気の急変による災害に備えることが大切です。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

<関連する記事はこちら>

線状降水帯発生の発表、気象庁が最大30分前倒し…早期避難に役立てて!

関連記事:

配信元