私たちが日常的におこなっているオーラルケアは、今や口の中や歯だけの問題ではない!?
口の中が全身に影響するって本当?
今回は、口腔ケアの重要性について、歯科衛生士の石川志乃さまにお話を伺いました。
口腔ケアの重要性
食べ物は口から入り、胃→腸→大腸→肛門の順に進んでいきます。
口から肛門までは一つの管で繋がっています。
お口の中に生息する菌も食べ物や唾液と共に胃や腸へ取り込まれます。
歯周病菌が口の中に多い場合、歯周病菌の中のある種の菌が腸に入り込むと腸内の細菌叢のバランスを崩したり、腸のバリア機能が低下し、本来なら腸管から排泄される毒素が腸の壁を通過して体内に戻るようになり、血液の中に細菌の毒素量が増加することがわかってきました。
また腸は第二の脳ともいわれており、大脳に匹敵する数の神経細胞が存在します。
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」も腸内で作られます。
腸内環境が悪化するとセロトニン不足に陥るリスクがあるともいわれています。
歯周病が糖尿病の血糖管理に影響を与えること、歯周病の治療をしっかりおこなうことで糖尿病も改善するケースが明らかになってきました。
また、動脈硬化や脳卒中も歯周病菌と関係が深いとの報告もあります。
虫歯や歯周病予防だけでなく、口腔ケアは全身の健康面から考えてもとても大切なのです。
オーラルケアを怠ると老ける?!
健康的な肌はもちろん、髪、爪はたんぱく質からつくられています。
筋肉の維持や増加、免疫力を高めるにもたんぱく質が必要。
その他にも酵素やホルモンとして代謝を調節する働きもあります。
このたんぱく質の合成に必要な栄養を消化吸収するには歯がかかわります。
食べ物として摂取されたたんぱく質を効率よく体内に取り込む(消化吸収)にはしっかり噛むことが必要です。
大事なのはたんぱく質をただたくさん摂取するだけではなく、食べた後に適切に体内に取り込む(消化吸収する)ことが重要です。
食事の際に歯に痛みや、不快事項があってはしっかり噛めませんよね。
こういった意味でも『オーラルケアを怠ることでアンチエイジングに大きく影響を与えてしまう』といっても過言ではないと思います。
今回はお口と全身についてお話してきましたが、私たち歯科衛生士が皆さんに伝えたいことは以下のとおりです。
(1)ブラッシングは「歯を磨く」ではなく、歯の表面に付着している細菌や食べかすを除去するためにおこないます。
(2)歯ブラシだけでは歯のすべての面を清掃することは不可能。デンタルフロスを必ず使用してください。歯周病や虫歯の要望には必須です。
(3)痛みがなくても定期健診には必ず行きましょう。
日々診療していて思うことは②のデンタルフロスの使用率がとても低いこと。
歯と歯の間の虫歯や歯周病の予防にはデンタルフロスは必須。
ただし、フロスは使い方を間違うと、歯茎を傷つけたり、清掃効率が落ちてしまいます。
使い方がわからない、不安な方は定期健診時に担当歯科衛生士にぜひ聞いてみて下さい。
[執筆者]
石川志乃
歯科衛生士
千葉センシティ矯正歯科所属
2児の母であり、自身の子供の肌トラブルをきっかけに栄養について学ぶ。
所属クリニックにて虫歯や歯周病予防の一環として栄養指導を行っている。
<保持資格>
オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェッショナル11期 認定栄養カウンセラー
第二種滅菌技師
Jaos 第二種歯科感染管理者
千葉センシティ矯正歯科
配信: キレイ研究室
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