普段は気にならなくても、ふと他人を羨ましく思うことがありますよね。
特に落ち込んでいるときは、運の良い人や幸せそうな人を見て「いいなぁ」「どうして自分は・・・」と考えることもあるでしょう。
それでは、運を良くするためにできることや心構えには、どのようなものがあるでしょうか。
今回は、経営コンサルタントの石守芽以さまにお話を伺いました。
心理学的に運の良い人やいつも幸せそうな人とは?
実際のカウンセリングにおいて、「ネガティブな思考に陥りやすい」「他人と比較してしまう」といったお悩みを持つ相談者は珍しくありません。
その場合、物事の捉え方を変えるトレーニングの一環として、「自分が恵まれていることに気付きやすくする」練習をすることがあります。
手始めに、運が良くて、いつも前向きに見える人を思い浮かべてみてください。
その人は、恵まれている自覚がある人や、周りへの感謝をよく口にしている人ではありませんか。
そう、運の良い人になるための近道は、「自分は運が良い」と気付けるようになることです。
今回ご紹介する方法は、専門知識が無くても気軽にできますので、ぜひ試してみてくださいね。
1日1回、3つのことに感謝する
考えている内容に応じて、感情は変化していきますよね。
嫌だったことを思い出せばムカムカして、嬉しかったことを考えると鼻歌を歌いたくなるように。
この方法は、思考が感情や気分に影響を与えられることを利用しています。
毎日感謝することを3つ探す必要があるため、必然的に自分にとって「ありがたいこと」に注目するようになります。
感謝の対象は、大きなことでも小さなことでも構いません。
「今日もおやつがおいしかった」「誰々と久しぶりに話せて楽しかった」など。
一度やってみると分かりやすいのですが、何かに感謝することは、狭まっている視野を広げるきっかけになるのです。
感謝に目を向けることに慣れてくると、日常の些細な出来事でも「ありがたい」と感じやすくなるでしょう。
その結果、今恵まれていることに気付きやすくなるという仕組みです。
いつも幸せそうに見える人は、ちょっとしたことにも幸せを感じられて、感謝する習慣が身についている場合が多いのですよ。
5分もかからない方法ですから、入浴中や移動中に考えてみてください。
睡眠は記憶の定着を助けるため、寝る前に行うこともおすすめです。
他者のコントロールより、自分のコントロールに集中する
人間関係で悩むとき、他者の言動にイライラしたりモヤモヤしたりしますよね。
そのような気持ちを抱くことは自然ですし、無理に抑えつける必要はありません。
それよりも、続いてどのような行動を選択するかが、幸せそうに見える人とそうでない人の違いにつながります。
よく「他人に期待し過ぎるな」といいますよね。
そもそも、他人の価値観や思考を正確に理解することは不可能である以上、自分が望む展開になるよう動機づけるなど至難の業。
つまり、変化を強いることはできません。他人をコントロールしようとすれば、当然のことながら思うようにいかず、不満や不安が募っていきます。
一方で、自分の行動は自分次第で決められることも多いですよね。
責任も伴いますが、自分で決めたことをやり遂げれば達成感を味わえますし、努力した自分に自信を持てるでしょう。
結果として、他者をコントロールしようと四苦八苦する人より、自分をコントロールしようと集中できる人の方が、幸せを感じられる機会も多いのです。
今持っているものを持っていない世界を想像する
「たられば」というと、過去の決断で別の選択肢を選び、「今持っていないものを、もし持っていたら……」と想像を膨らませることを指しますよね。
今回ご紹介する方法は、逆の発想です。
「今持っているものを、もし持っていなかったら?」と自分に問いかけてみましょう。
「〇〇の経験をしていなかったら・・・」
「〇〇と出会わなかったら・・・」
といった具合です。
この問いかけによって、現在持っているものに感謝し、過去にした自分の決断を評価できるようになります。
一般的な「たられば」は、架空の完璧な未来と現実を比べるため、後悔が押し寄せてしまうことも。
この方法は今あるものに目を向けて、自分が得たものや失くしたくないものに気付けるため、むしろ「自分はこんなに運が良かった!」と考えるきっかけになるでしょう。
「運が良い」といわれる成功者や経営者が実践していることは?
大手企業のマネジメントや注目されているスタートアップの経営者等、ビジネスの世界で「運が良い」といわれている人には、どんな特徴があるでしょうか。
筆者が仕事を通して出会った、「チャンスをものにしている」と評判の方々に共通する行動や心構えを紹介します。
譲れること、譲れないことを分ける
頻繁に意思決定を求められる立場であるため、意思決定のルールが確立している人も多いです。
その中でよく見られるルールは、譲れる条件と譲れない条件を分けて、時間をかけ過ぎずに判断すること。
完璧主義だと身動きがとれなくなり、機を逸することが多いと知っているからこそですね。
この考え方は、実は仕事以外でも活かせます。
譲れない条件さえ守られていれば、総合的に上手くいっているという認識になるため、「自分は運が良い」とか「環境に恵まれている」という気持ちを抱きやすいのです。
目の前よりも目標に焦点を当てる
短期的には面倒そうな作業でも、「これは○○の点で自分やチームのためになる」「あれをやれば目標に近づく」など長期的に捉えた発言をよく耳にします。
ゴールに向かっていると思えれば、充実感や満足感につながりますよね。
また、小さな作業も大きな目標のための大事なピースだと考え、その作業を行ってくれたメンバーに対して丁寧に感謝を示す場面も見られ、チームの雰囲気にも良い影響が生まれているようです。
一時的に大変な状況にあっても、「やらされている」というより「自ら選択してやっている」という意識が働くため、ストレスに対処しやすいという面もあります。
「挑戦できる環境や周囲のサポートに感謝!」と前向きな姿勢につながっています。
いかがでしょうか。
ご紹介したトレーニングは、いつもと物事の捉え方を変えるヒントになるものばかりです。
そのため、お試し気分で短期間、もしくは1回行うだけでも変化を感じられる場合があります。
「やってみたら、自分は恵まれているなぁ、と気付きました」としみじみする方も。
いつも前向きに見える人や、幸せそうに見える人は、「誰かに教わったわけではないけれど、経験から学んで・・・」と自発的に行っている場合も多いようです。
ぜひ、実践してみてください。
[執筆者]
石守 芽以(いしがみ めい)
経営・人事コンサルタント、産業カウンセラー
Confinkle Business Studio合同会社代表。
「ビジネスパーソンの心身ともに健康な社会生活をサポートする」をモットーに、企業の人材育成や職場環境向上、キャリア開発等に関する取り組みを支援。
スクールカウンセラーとして子どもの心理教育にも携わっている。
趣味は愛犬の散歩。
Confinkle Business Studio 合同会社
配信: キレイ研究室
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