大人女子なら知っておきたい!真珠の種類や価値、冠婚葬祭でのマナーについて|7月11日は「真珠記念日」


1893年7月11日、ハイジュエラー「ミキモト」の創始者である御木本幸吉氏は、世界で初めて真珠の養殖に成功しました。

これを記念し、7月11日は「真珠記念日」に制定されています。

真珠は、紀元前3200年ごろのエジプトですでに珍重されていたといわれる歴史あるジュエリー。

最近では、敬宮(としのみや)愛子さまが真珠のジュエリーを身に着けられたことでも大きな注目を集めました。

この記事では、人類に長く愛され続ける「真珠」について詳しくご紹介します。

真珠とは?

真珠は「純潔」「無垢」などの石言葉を持つジュエリーです。

厳密には宝石ではありませんが、ダイヤモンドやルビーと並ぶ「5大宝石」の一つに数えられることもあります。

真珠記念日を迎えるにあたり、真珠とはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。

真珠の定義

「一般社団法人日本真珠振興会」が定める真珠の定義は、以下のとおりです。

「真珠」とは生きた貝の体内で形成される生鉱物であって、かつその外観し得る部分の構成物質が真珠貝貝殻の真珠層(「アラゴナイト」と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶と、「コンキオリン」と呼ばれる有機基質の層状構造)と等質であるものをいう。

引用:真珠スタンダード2014年版|一般社団法人日本真珠振興会

すなわち真珠とは、「真珠層」を持つ二枚貝から採取される生体鉱物です。

生体鉱物とは、生物が自ら作り出す硬い組織のこと。

敵から身を守ったり、体を支えたりするために生成されるのが一般的です。

例えば貝の場合、貝殻が生体鉱物に該当します。

貝の生体鉱物である真珠は、貝殻の成分が幾重にも重なって形成されたものです。

中央には寄生虫などの「核」があり、「炭酸カルシウム」「有機物」で構成されています。

参考:徳島県立博物館 / ミネラルズ : 生物・化石と鉱物 : 貝殻と真珠

真珠のランクを決める要素

真珠には、ダイヤモンドなどのように厳密なグレードがありません。

真珠のランクに影響するのは、主に「テリ」「巻き」「傷」「形」「大きさ」です。

・テリ:真珠の光沢
・巻き:真珠層の厚みのこと。厚みがあるほど「巻きがよい」といわれる
・傷:真珠表面の凸凹
・形:真円に近いものほどよい
・大きさ:大きいほどよい

一般的には、「強いテリがあって巻きがよく、傷のない大きな真珠」ほど価値が高くなります。

ただし真珠層が厚くなるほど、どうしても形状はいびつになりがちです。

巻きがよくて大きい真珠は希少性が高く、価格も高価になります。

丁寧なお手入れが必須!

真珠層にはタンパク質が含まれているため、真珠は汗や皮脂などの影響を受けやすいジュエリーです。

着用後に収納する際は、必ずやわらかい布などで拭き取りましょう。

お手入れせずに放置すると、真珠の色が黄色くくすんでしまいます。

また真珠は酸性の物質と相性が悪いため、オレンジジュースやワインなどをこぼすのは厳禁です。

そのまま放置すると表面層が剥がれたり、割れてしまったりするリスクがあります。

「真珠は水洗いしてはいけない」といわれますが、酸性の汚れに触れてしまった場合は早急に水洗いしてください。

真珠の種類

真珠には真珠層を持つ貝が偶然「核」となる物質を取り込んで生み出された「天然真珠」と、人の手で核を埋め込んで作る「養殖真珠」があります。

市場に流通しているもののほとんどは養殖真珠で、天然真珠は希少性が高く、ほとんど見られません。

ここでは、「養殖真珠の4大種類」を含む5種類の真珠をご紹介します。

アコヤパール|世界的に人気の高い日本産真珠

真珠記念日の元となった1893年7月11日、御木本幸吉氏が世界で初めて真珠の養殖に成功したのがアコヤパール。

ウグイスガイ科の二枚貝・アコヤ貝に核を入れて生成されます。

アコヤパールの特徴は、なめらかな色彩と美しいテリ、真円に近いきれいな形状があること。

サイズは7~8mm前後のものが多く、他の養殖真珠と比較すると小ぶりで上品です。

市場に流通するアコヤパールのほとんどは日本で養殖されており、世界的にも高い評価を受けています。

日本における代表的なアコヤパールの産地は、三重県・愛媛県・長崎県です。

▼アコヤパールの国産メーカー:大月真珠

画像提供:株式会社大月真珠インスタグラムより

大月真珠は、真珠の養殖から販売までを一貫して手掛けるメーカーです。

アコヤパール1級品の取扱量が多いことで知られており、世界で流通しているアコヤパール1級品の約30%は大月真珠の製品です。

大月真珠の特徴は、パールネックレスの種類が豊富であること。

アコヤパールはもちろん黒蝶真珠・白蝶真珠のネックレスが、約900種類以上ラインナップされています。

自分好みのパールネックレスを探している方も、最適なサイズ・長さのネックレスが見つかるでしょう。

公式サイト:大月真珠

黒蝶真珠(くろちょうしんじゅ)|神秘的なカラーが魅力

黒蝶真珠は、タヒチに生息する「クロチョウガイ」で養殖される真珠です。

カラーバリエーションは赤・黄・緑などがあり、黒味が少ないほど上質とされます。

最も価値が高いのは、孔雀を思わせるピーコックグリーンの黒蝶真珠です。

黒蝶真珠は母貝が大きいこと・暖かい南洋で養殖されることなどから、アコヤパールよりも大ぶりなものがほとんど。

アコヤパールが最大11mm程度である一方、黒蝶真珠は18mm程度のものも多く見られます。

なお「黒真珠=黒蝶真珠」ではありません。

黒真珠には、ほかの種類の真珠を黒く加工したものも含まれます。

黒蝶真珠・黒真珠の違いは大きいため、購入前に確認しましょう。

白蝶真珠(しろちょうしんじゅ)|「マザーオブパール」として人気

白蝶真珠は、ウグイスガイ科二枚貝「シロチョウガイ」で養殖される真珠です。

真珠層の周縁部が銀白色の「シルバーリップ」と黄金色の「ゴールドリップ」の2種類があり、前者で養殖された真珠はシルバーホワイト、後者で養殖された真珠はイエローゴールドの色味を持ちます。

なめらかな光沢を持つ白蝶真珠は、欧米では「マザーオブパール」と呼ばれる高級ジュエリーです。

古くはボタンやナイフなどの柄に使われてきたほか、高級時計の文字盤にも多く使用されています。

白蝶真珠は黒蝶真珠と同様に暖かい南洋で養殖されるため、アコヤパールと比較するとサイズは大きめ。

10mm以上のものが多く、20mm以上のものも珍しくありません。

淡水真珠|気軽なカジュアルジュエリーに最適

淡水真珠とはイケチョウ貝を母貝とする真珠です。

多彩なカラーバリエーションがあり、1mm程度の小ぶりなものから20mm程度の大ぶりなものまでさまざま。

市場に流通しているもののほとんどは中国産です。

淡水真珠の特徴は、圧倒的な価格の安さ。

アコヤパールや黒蝶真珠が1つの母貝につき1つの真珠しか生成できないのに対し、淡水真珠は1つの母貝から30以上もの真珠が生成されます。

市場流通量が多いため、真珠そのものの価格も安価になるというわけです。

淡水真珠は「無核」で作られるのが一般的ですが、養殖技術の発達により有核の淡水真珠も登場しています。

アコヤパールと見紛う品質のものも登場しており、「安価=品質がよくない」というわけではありません。

バロックパール

バロックパールとは、いびつな形状で生成された真珠の総称です。

かつては「規格外品」として扱われてきましたが、近年はさまざまな形状を「個性」として楽しむ人が増えています。

価格も通常の真珠よりも安く設定されており、淡水真珠のバロックパールであれば、数千円程度のものが見つかるでしょう。

バロックパールには養殖真珠・天然真珠がありますが、天然真珠のバロックパールは極めて希少です。

過去にはクリスティーズのオークションで、大ぶりな天然もののバロックパールが数億円で取引されたケースもありました。

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