ポイント①鰻蒲焼きのそっくり感
試食会では、うな重とちらし寿司の2メニューをいただきました。
まず今年の謎うなぎを見て驚いたのは、本物の鰻蒲焼きを基準にした場合の再現度の高さです。写真で見るとこれがプラントベースの模造品だと見抜けるでしょうか……。私は予想以上のホンモノ感に見事に騙されてしまいました。これは、びっくり一言に尽きる体験です。
そして実際に食べてみて感動したのが、ビジュアル以上に食べ心地でした。具体的には、鰻ならではの食感、風味、脂感の再現度。ふわっとしながらも程よく繊維感のある白身と、パリッと食べ心地のある皮を感じながら、口の中に入れた時のじゅわっと脂が染み出てくるような……。
この食べ心地は、本物の鰻の蒲焼をかたどった金型を作り、白身層、中間層、皮層の3層の生地を詰めて作られることで生まれる独自の製造法によるもの。中でも脂身を表現した中間層は、一朝一夕でできるようなレベルではないと思いました。
最近食べてきた数々のプラントベースフードの中でも、脂身のおいしさにこんなにも感動した商品はこれまでないと断言できます。
また裏側の皮目部分をチェックしていくと、ビジュアル的には様々な感想が出てきそう。表面のそっくり感と比較していくと、再現するのが難しい部分なのかもしれません。
ポイント②青魚のような風味
今年の大きな改良点は5つ。それは、①見た目の蒲焼感を出す、②大豆たんぱく独自の香りを抑える、③鰻特有の青魚のような風味を作る、④脂感を出す、⑤香ばしさをアップするというもの。
この中でもっとも考えさせられたのが、“青魚のような風味”でした。これは鰻らしさにつながる香りで、場合によって臭さにつながるとも言われるところ。つまり鰻の好き嫌いが分かれるポイントといっても過言ではないでしょう。
この香りやにおいの風味面で判定すれば、謎うなぎは本物と比較するとかなり控えめなレベルでした。この慎ましさをおいしいと感じるか、物足りないと感じるかは食べる人次第だなと思います。
ちょっと青臭いくらいが好きという人もいますから、ヒットのカギを握るのはまさにココにあるとみてもよいのではないでしょうか。
鰻専門店で食べるうな重に個性があるように、今回の謎うなぎは食べる人それぞれで判定が変わってきて当然。果たして多くの人々に称賛を得ることができるのでしょうか? 発売は7月11日ですから、その後の感想動向をX上でウォッチしていきたいと思います。昨年以上の大ヒットになるのでしょうか……!?
<取材・文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
配信: 女子SPA!
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