シュールな絵柄と作風で、時にはちょっとホラーっぽい一面がクセになるクラッシャー主婦(@tatakau_organic)さんの4コマ漫画。SNSでファンも多い作品の中から、今回は「ちょっとはゴーゴンだという自覚を持ちな!」というエピソードを紹介し、作品にまつわる話を聞いてみた。
■4コマ漫画「ちょっとはゴーゴンだという自覚を持ちな!」
髪の毛の代わりに蛇が生え、その目を見たら石になってしまうという恐ろしい力を持つ、ギリシャ神話の怪物ゴーゴン(※有名なメデューサはその中の1人)。
彼女がある朝、自らの魔力も忘れてうっかり同僚の岩田さんに「おはよ!」と明るく挨拶をしてしまった。当然岩田さんは石になってしまう。
「私がゴーゴンなばかりに岩田さんが…どうしよう」とうろたえるゴーゴンの前に、ある男性が現れ、彼女は石になったのではないと告げる。その理由とは…。
■自分の不注意で知人に嫌な思いをさせているかも
描くきっかけとなった具体的なエピソードは特にないという。ただ、「私は周りへの配慮があまり上手にできないタイプだと自覚していて、同時に『もしかしたら私の不注意で知人に嫌な思いをさせているかもしれない』ということをいつまでも考えてしまう傾向もあり、そのような葛藤を冗談まじりに描いた話です。そうは見えないかもしれませんが」。シュールすぎて、言われてみないと漫画に込められた意図には気づかないが、実は奥が深かった。
ちなみに、クラッシャー主婦さんは、作る際のこだわりとして、できるだけ出だしと関係のないオチを考えるという。「無関係な二つの事柄をつなげるというのがよく使っているやり方です」
でたらめな展開を考える上でよくヒントになるのは昔話や神話とか。「例えばギリシャ神話のエウロペのエピソードなどがそうです。ゼウスが浮気を隠すために愛人の姿を牛に変えてしまう話ですが、あまりにもその場しのぎの対応で、普通に考えてそんなことが事態の解決につながるとは思えません。牛にされた側もいい迷惑すぎます」
このエピソードはヨーロッパという地域名の由来になっている。「付け焼刃のごまかしが、後世にも大きな影響を残しているというギャップが面白くて好きな話です。突拍子もない話はなかなか受け入れられにくい部分もありますが、昔話などよく知られた物語を流用して『ああ、あれのことかな?』とほのめかすことができれば、何となく通じるという寸法です」。ちなみに今回の漫画のオチは、旧約聖書のロトの妻の塩柱がモチーフになっている。
読み始めると引き込まれる、クラッシャー主婦さんの独特な4コマ漫画の世界を味わってほしい。
取材・文=折笠隆
配信: Walkerplus
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