立ち返るべきは「つまり、愛だ」の言葉
不調和はおっさんズだけでなく、寅子の家庭内にも及ぶ。日々の激務から、娘・佐田優未(竹澤咲子)の日常の変化にまではなかなか気がつけない。ちょっとした違和感を家族たちが抱き、寅子との調和が保てない。
そんなときだった。帰宅した寅子に家庭内のことを彼女に代わってあずかる猪爪花江(森田望智)の本音が溢れ出る。「何、その言い方」と最初は寅子も噛みつくが、自分だけがズレてしまっている事実を痛感する。
家庭裁判所では他の家庭の揉め事を調停する立場にあるが、自分の家庭のことは花江に任せっきりだった。ここで立ち返るべきは、多岐川が口ぐせのように発する「つまり、愛だ」の言葉だろう。
第11週第55回、猪爪家も総出で年明けと同時に家庭裁判所の設立にこぎつけた。酔いつぶれた多岐川が「つまり、愛だ」と寝ぼけてつぶやく。家庭裁判所の父の下、そこにいた面々の間には確かに愛が宿っていた。おっさんズにしろ、猪爪家にしろ、この愛を早く取り戻す必要がある。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
配信: 女子SPA!
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