顧客による迷惑行為“カスタマーハラスメント(カスハラ)”は社会問題にもなっていて、国を挙げての対策や法改正などがおこなわれています。2023年12月13日に改正された「旅館業法」では、要件に該当する要求をおこなった宿泊客を拒否できるようになりました。
さまざまな職種で今後の対策や法改正が期待されているカスハラですが、実際にサービス業の現場ではどのような被害を与えているのでしょうか。今回は、自身の体験から「早く法整備が進んでカスハラ客が減ってほしい」と希望する春奈さん(仮名・26歳)に話を聞きました。
最初は理にかなった小さなクレームだった
「私は、レストランでホールを担当しています。何にイライラしているのか不機嫌な様子でこちらにもキツい口調であたってくる人、代金を投げるように渡してくる人などは少なくないので、もう慣れました。でも、精神はすり減りますし、ストレスも溜まります」
さらに、そこへ強敵が加わるとなおさら。「その人が、また来店したら……。と、今後のことを考えるだけで疲れてしまいます」と春奈さん。そんな春奈さんにとって、とくに強烈な印象を残したのが、最初は控えめで常識のありそうな40代ぐらいの女性Sさんでした。
「最初は『お皿が少し汚れているから変えてほしい』といった、どう考えても私たち店側が対処しなければならないクレームを受けたこと。確かにお皿には小さな汚れがあったので、すぐに謝罪して新しいものを持って行きました」
だんだんと図々しくなっていった
するとSさんは「忙しいのにごめんなさい。ありがとう」と、店側が謝罪するべき状況だったにもかかわらず、とても印象のよい対応だったとか。そしてその日以降、グラスが空になったときやカトラリーの変更など、よく声をかけられるようになりました。
「そのうち、週に2~3回はランチタイムに来店。常連さん状態となり、この頃から図々しくなっていきました。ランチタイムが終わってもなかなか帰らず、声をかけると『ごめんなさい』と申し訳なさそうに謝って帰宅するのに、また同じことを繰り返すのです」
歯向かってくるわけでもないため、店側も春奈さんもその都度、ランチタイムの終了時間を伝えることぐらいしかできません。ほかにも、開店前で準備中のプレートを吊るしてあるのに、「少し早いけど、店内で待ってもいいですか?」と聞いてくることもありました。
「はっきり言って、結構迷惑なんですよね。でも、トラブルを避けたい雇われ店長は、開店前の店内で待たせてしまったのです。するとSさんは、当然のように準備中でもやってくるようになりました。それだけではありません。日に日に態度も要求も大きくなっていきました」
配信: 女子SPA!