天然アユは脂質が控えめでビタミンB12が多い
天然アユは運動量が多く、脂質が控えめ。たんぱく質、カルシウム、鉄は養殖アユよりも多い特徴があります。特に多いのがビタミンB12。葉酸と協働して赤血球をつくり貧血を予防することから別名「造血ビタミン」「赤いビタミン」と呼ばれ、不足すると悪性貧血を招くことも。傷ついた神経細胞を修復する働きもあります。ビタミンB12は野菜などの植物性食品にはほぼ含まれていないため、意識して摂ることが大切。アユ1尾で、12歳以上の男女が1日に必要な推奨量(2.4μg)を十分に補うことができます(※1)。さらに、天然アユには内臓にもビタミンB12をはじめ、鉄・銅・亜鉛・マンガンなどのミネラルが多く含まれています。
(※1)厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より、アユ1尾の正味重量40gとした場合(参考:奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部)
▲養殖アユ。お腹がぽってりとし、頭の後ろが盛り上がっていることが多いです。鮮度のいいものは体色が美しく、エラが鮮やかな紅色をしています。
養殖アユは質の良い脂肪酸とビタミンA・D・Eが豊富
養殖アユは、脂のノリが特徴。天然アユと比較すると脂質が多く、エネルギーとコレステロールは高め。ですが、良質な脂肪酸が含まれています。私たちの体内で重要なホルモンの材料となるオメガ3系(DHA、EPA、α-リノレン酸など)、血糖値やコレステロール値を下げる働きが期待されているオメガ6系(リノール酸など)です。この中で、α-リノレン酸とリノール酸は体内で合成できないため食べ物から摂取する必要がある必須脂肪酸です(リノール酸からつくられるEPAやDHAは体内で合成できますが広義の必須脂肪酸に含めることがあります)。養殖アユは貴重な必須脂肪酸の栄養源と言えそうです。
▲丸ごと食べられる稚鮎。天ぷら、から揚げ、南蛮漬けにすると、おいしいです!
また、生活習慣病を引き起こす原因とされる活性酸素を除去し、皮膚や目の健康を保つビタミンA(レチノール)、細胞の老化を予防するビタミンE、カルシウムの吸収を促して骨や筋肉を守るビタミンDは、養殖アユに多い栄養素です。特に、養殖アユの内臓にはウナギの肝に匹敵するビタミンA(レチノール)が含まれています(※2)。
(※2)『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』に記載の「あゆ 養殖 内臓(生)」「うなぎ きも(生)」のレチノール活性当量を比較
▲夏の風物詩でもあるアユの塩焼き。
配信: LASISA