ブラック企業から転職するも、コロナ禍で失業してしまう
学生時代にアルバイトで働いていた学習塾から「ここで社員で働かないか?」と声をかけられた美香さんは、そのまま就職することにしました。しかし、そこは人手不足のブラック企業でした。声をかけてくれた上司がすぐ辞めてしまったため、社員登用の話がうやむやになり、アルバイト扱いのまま月残業100時間、最大60連勤という労働環境で働きました。
自由な時間が激減した結果、友人たちとも疎遠になり、オタク活動もできません。心身に不調をきたし学習塾を辞めた時は26歳になっていました。
次に建設会社に正社員で就職しました。男性だらけの職場でしたが、業界全体で若手が入ってきにくく、同僚は50歳以上の男性だらけ。中には80代の職人さんもいたそうです。取引先含め全員が既婚者で、出会いはありませんでした。
前職よりは休みもあり、マッチングアプリを利用し始めたのもこの会社で働いていた時期だそうです。
ところが、資材高騰に加えてコロナ禍で相次いだ工事中止の影響で職場の経営が傾き始め、美香さんは人員整理の対象に。新型コロナ流行の不安定な状況のさなか、職を失ってしまったのです。
この先も景気に影響を受けず、AIにも奪われない仕事は何だろうと考え、介護職にたどり着きました。スクールに通って資格を取得し、介護施設に就職しました。
新しい仕事にも慣れ、少し心の余裕もできた時に、「友達もいないし私生活を充実させたい」と思った美香さん。2023年の12月、X(旧Twitter)でバズっていた「オタ恋」というオタク専用マッチングアプリをダウンロードします。
オタク専用マッチングアプリで、イブにデートの約束をしたけれど
Pairsでの反省を活かし、マーベルが好きな腐女子であることを明かし、ぶっとんだ設定がおもしろいニッチなアダルトゲーム名も載せたプロフィールで登録しました。すると20~30人ほどから「いいね」がきたそうです。
一般的なマッチングアプリでは、男性は課金しないと女性のメッセージを読めません。全員に「いいね」を返したのですが、大半が無料会員だったのか、きちんとメッセージのやりとりをしたのはその中の5人ほどでした。
うち1人の男性は、メッセージを数往復してすぐ「クリスマスイブに会わない?」と誘ってきます。たまたまシフトが休みだったので美香さんは承諾しました。
しかし翌日、こんな返信がきていたのです。
「失礼しました。友達が勝手にメッセージを送っていたようで今気が付きました。話題のアプリだったので飲み会でノリでダウンロードしてマッチングしてしまったようです。12月24日はお会いできません。この度は申し訳ございません」
もう1人、会うためのメッセージのやりとりをしていた人がいました。画質の荒い写真で登録している、音ゲー好きの28歳エンジニア男性。お互いにシフト休みが一致する日は12月24日だけだったので、イブに会うことにしたのです。
彼からは、カラオケを提案されました。一瞬「個室のカラオケって大丈夫?」とも感じます。
配信: 女子SPA!